2007年04月16日
■□ 戦略の指標と評価 ■□
実際に医院の顔になってくれるのは、やさしいスタッフの声かけであったり、とっさの機転であったりします。戦略をスタッフと共有すると、スタッフのやる気度は確実にあがってきます。“こうする理由”が明確になるので、やりがいも生まれてくるのです。ですが、人間不思議なもので最初は良いのですが、ある程度の時期をすぎるとできる人ほど、「自分だけやっている感」を感じ始めます。人間には仕事の速さとか、質とか個人の特性に由来するものがありますから、できる人はどんどん仕事をすすめ、できない人もそれなりに・・となるのですが、人間“やり甲斐”だけでも生きてはいけないものです。放っておくと、職場にだんだんと損得勘定がめばえはじめます。えこひいきということも同じですが、「私だけ!」「あの人だけ!」となってくると、なぜか標準が低レベルの方にあってしまい、せっかくの戦略もうまく運ばなくなってしまいます。
■□ BSCを用いる意義 ■□
多くの院長先生方にとって、評価指標は経営の「見える化」を可能にする重要なツールです。それと同時に、スタッフ同士にとっても重要なものとなります。戦略の実行のためにできること、しなければならないことを各自が目標設定し、それに対する結果について自己評価を、検討しあいます。この目標と遂行(結果)を数値化することによって、普段隠れている作業に対してもその働きを評価できることにつながります。評価指標の策定の仕方によっては、もっとレベルアップすることにつなげることも可能ですし、標準化することもできます。そもそもその戦略は、現場に浸透し、スタッフの挑戦意欲をかき立てる戦略であるべきです。こうした側面に目を向けず、数字だけを追いかけていても、望む方向へとはクリニックは変わってはいきません。ですから、BSCを導入する際も、目標数値をおしつけることのない「現場を元気にする」評価指標の決め方がポイントとなります。
■□ BSCについて ■□
バランススコアカードは、多くの企業はもちろんのこと、医療関係では、聖路加病院をはじめとして、各県立病院や、独立行政法人となった大学病院等で既に用いられ、成果をあげてきています。コンサルタントにお願いすると、結構な費用がかかることから、導入に踏み切れていない企業も多いようですが、クリニックで導入する場合には、大きな組織のような長い導入ステップが必要とならないところから、導入しやすいと考えられます。BSCの理論自体はアメリカ生まれですが、もともとは日本の仕組みを熟考して考案されたものだと言われています。日本では、横浜国立大学の吉川教授が創始者の直弟子として活躍しておられ、各種病院・企業のコンサルティングをされておられますが、教授にも、歯科でのBSCの導入は有望であると応援していただいております。
たくさんの関連書籍もでておりますので、ご興味をお持ちいただけた先生は、是非参考になさってください。
□■ 山中先生のホームペ-ジ http://keiei-kyoto.com/