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歯科医院経営について ~その1~

2006年05月15日

この4月から診療報酬の改定がありました。ご存知の通り、毎回のことですが、すったもんだのあげくに決定され、“率”が公表されます。最近は、「過去最大の下げ幅」というのが枕詞のようになっていますが、先生方はどのように受けとめられたでしょうか?
泣いても笑っても・・その数字は全歯科医師に共通のものです。特に誰かを狙って定められたものではありません。その数字に対して悲観的になられる先生、「またか!」と気にもされない先生、影響を分析される先生・・などなど、対応はさまざまだと思います。厚生労働省の係官の弁によると、この数字に期待されているものは“経営努力”なのだそうです。

今回からは、しばらく「経営」をテーマに、ご一緒にいろいろ考えていきたいと思います。第一回目の今回は、「ビジョン」についてです。

□■ビジョンを描く■□
コンサルティングにおいて一番大切なものは、院長先生との意思疎通にあります。相互理解とでもいいましょうか? 院長先生が思い描かれる夢・理想といったものがとても大事になります。歯科医院のトップとして、どんな歯科医院になさりたいのか、どのような診療・治療がベストと考えておられるのか、また、プライベートではどのようなプランをお持ちなのかといったことです。

「時間的ゆとり」を第一にお考えの先生に、年収のアップだけを考えたご提案をしても、お喜びいただくことはできません。また、増患対策が大事であるとして、「広告をしましょう」、「ホームページをすごく凝った美しいものにしましょう」、「診療時間を延ばしましょう」などといったご提案も先生ご自身の「ビジョン」に基づくものでなければ、トータル的に医院のためであるといえない場合も多いものです。

遠回りのように思えますが、生涯にわたる院長先生のご希望や願望を明確に描きだすことがすべてのスタートになります。目標があって初めて、“戦略”が生まれるわけです。これは、痛みをとるだけでよいのか、治療後の美しさまで考えるのかといった歯科の治療と似ていますね。

□■ビジョンの実現のために■□
次に描いたビジョンの実現のための簡単な計画を考えてみます。
例えば、『65歳で次の代に譲り、海の見える豪邸でハッピーリタイアを迎える』というご希望だとします。そのために必要な費用を概算し、それまでの必要経費なども考慮にいれながら、そのときの医院の収入はだいたい・・そのためのレセプト枚数は・・・・というおおよその計算に基づき、では、5年後・10年後には医院の規模をこれくらいにしておかないと・・といった目安のようなものが見えてきます。将来から逆算してくるわけです。そのために、チェアを増やしたり、スタッフを増員したりする必要がでてくるかもしれません。また、診療科目自体に限界があり、新たな技術習得が必要になるかもしれません。この簡単な計画と医院の現状分析と合わせて、“戦略”を練り始めることになります。

現状維持でとりあえず節税を考えて体力を蓄えるもよし! すぐに戦略を立てて成長を目指すもよし!です。どの成功医院を拝見させていただいても、無理な理想プランより、院長先生のビジョンに沿ったプランの実行が一番の早道のようです。

 

□■ 山中先生のホームペ-ジ http://keiei-kyoto.com/