2010年04月19日
小児に麻酔をしラバーダムを装着した。
そして、タービンで削り始めると泣き出す。
こんなことをよく経験する。
ここでの泣きの理由には二つある。
一つは、タービンの音が恐い。
もう一つは、まだ麻酔が充分に効いていないと考えられる。
この二つを見分けるためには、どうすれば良いだろう?
まずこのケースでは、タービンの音に慣れさせる。
以下、その手順を紹介する。
術者が麻酔・ラバーダムを装着した後:
1:アシスタントは、小児に鏡を左手で保持させ見せながら、右手はお腹の上に誘導する。
2:術者は「もし虫さんが暴れたら(痛かったら)手を上げれば、やめるからね。」と伝え約束する。
3:「これから手を挙げる練習をしよう!」と言って、口腔内でタービンの空回しをする。
4:「手を上げてごらん!」と言って手を上げさせる。
5:小児が手を上げたら、術者は、大きなアクションでタービンを止め、バキュームとともに顔から離す。
大きなアクションをすることがコツである。
6:この時、小児が全く手をあげなかったら、アシスタントが小児の手を持ち上げるように誘導する。
(小児は、まだ手をあげる意味が理解できていないと考える。)
7:タービンを止めたので、右手をお腹の上に置くように告げる。
(小児の右手が胸部までしかおろさなかったら、アシスタントはお腹の上まで誘導する。手が胸にあるのは、まだ充分信頼されていないためである。)
8:「上手にできた!もう一度練習をしよう!」と言って、タービンを空回しする。
9:再度オーバーアクションで、タービンを止め顔から大きく離す。
(オーバーアクションをするのは、小児の視野が狭いので理解を促すためである。)
10:そして3回目でタービンにより切削を開始する。
11:切削前に手をあげたら、「もう練習は終わり、鏡を良くみてごらん。音がしているだけだろう。
虫さんが暴れた時だけ手をあげてね。」と告げ鏡を見せ、空回しをしている様子を見せる。
12:タービンの音を繰り返し聞かせると音に対する閾値が上昇する。
また手を上げたら止めてくれることを小児が理解し信頼関係が深まる。
13:そしてタービンで切削を開始する。
エナメル質では手を上げないが、象牙質の切削時に手を上げれば、疼痛によるものと判断し、時間をあけるか麻酔を追加する。
14:この時、無理に切削し疼痛を与えると、これまでの苦労が水の泡になるので注意する。
>>岡崎先生のホームペ-ジ
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