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病巣感染

2008年08月04日

ある先生から一冊の本をいただいた。
そのタイトルは、『虫歯から始まる全身の病気』。
病巣感染について書かれた本である。病巣感染の原因は、放置した齲蝕によるものだけではなく、根管治療を施しても根尖部や側枝に残留する細菌や毒素がその引き金になる可能性があると述べている。
少々、ショッキングな本であった。
そもそも、著者のジョージ・E・マイニーは、アメリカ歯内療法学会の創設期からのメンバーの一人であり、言わば学会の重鎮であった方である。
それほどの方が、根管治療に警笛を鳴らしているのだ。不適切な根管治療は病巣感染になりえることを考慮しながら診療を行うべきであり、歯科医として戒めにしたいものだ。

さて、“病巣感染”といえばこんな思い出がある。
患児は、初診時4歳の男児。
ある日、病巣感染を疑われて入院中の小児科から紹介された。問診をとってみると、病名はアレルギー性紫斑病(ショーライン・ヘノッホ症候群)。
患児は元々、大阪に住んでいた。
しかし、難治性のため小児科医からサジを投げられたようだ。
残された方法は、転地療法しかないと言われた。そこで両親は、わざわざ患児のため退職し、空気の良い岡山の郊外へ引っ越して来たのである。
それでも病状は一向によくならず、1年の半分は入院生活を送っていた。
ある日、小児科の主治医は、重症齲蝕に気づき紹介状を書いたのだ。
口腔を診ると、病巣感染を疑われる歯が多数あった。

・・・ところがだ。

病巣感染が疑われる歯を抜歯すると、何も噛めなくなってしまう。
そこで髄床底しか残っていない乳臼歯を、無理矢理に根管治療し、乳歯冠を装着し噛める歯を作ってみた。ところが嬉しいことに、それ以来紫斑はピッタリ止まり、20数年間再発していない。
この経験は、たいへん勉強になった。通常、原因歯を抜歯することで感染源を除去しようと考えがちであるが、噛める歯を作ることで体の免疫力を高めることも同時に重要なのである。

参 考:『虫歯から始まる全身の病気』
監修者:(故)片山恒夫
訳 者:恒志会刊行部 1800円
発行所:恒志会
電 話:06-6852-0446
H P:http:/www.koushikai-jp.org
発売所:農山漁村文化協会

 

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