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アドラー心理学のすすめ その4:立場エネルギーと心を動かす運動エネルギー

2013年03月01日

ある医師の言葉。
“生活習慣病は、術者・患者関係で治すもの。”
けだし名言である。
まさに横の人間関係を意識した言葉と言える。

さて外傷や疼痛などの急性症状を伴う処置では、術者・患者間の人間関係はさほど重要ではない。
まず痛みを止めることが優先されるからだ。
歯科疾患の処置法は急性疾患に準ずるものが多い。
しかし、その多くは慢性疾患。
その場限りの処置だけでは予後は明白だ。
某名医が言うように、術者・患者の良好な関係が必要である。
残念ながら歯学教育では手技が優先され、人間関係は長い間なおざりにされてきたきらいがある。

ところで高校時代、物理学で“位置エネルギー”という言葉を習った。
滝の水が上にある時、位置エネルギーが最も高くなる。
しかし下に落ちれば、水は動かない。
これは位置エネルギーがなくなるからだ。

筆者は自戒を込めて、この位置エネルギーを“立場エネルギー”という言葉に置き換えている。
これまで処置が終了すると、来院されなくなる患者さんが大勢いた。
その理由として、“治す側”と“治される側”という立場エネルギーを利用して診療をしていたのではないかと思うのだ。
これは縦の関係である。
処置がなくなれば、立場エネルギーは通用しない。
保健指導もそうだ。 “○○しなさい!”というのは、説得型の指導。
これも縦の関係だ。
誰もが説得なんてされたくない。

さて物理学では、“エネルギー保存の法則”という言葉も習った。
“真空状態では、振り子は永遠に振れ続ける”という。
振り子が一番高い位置の時に、位置エネルギーは最大となり、一番低い場合はゼロとなる。
しかし、運動エネルギーは、一番低い位置で最大となり、高い時にはゼロになる。

立場エネルギーを利用した診療には限界がある。
これでは、メンテナンスに来ていただけない。
そこで登場するのが“エネルギー保存の法則”である。
立場エネルギーがなくなっても、運動エネルギ-に置き換えればよい。
それは“心を動かす運動エネルギー”である。
これは言葉の使い方などにより横の関係を作り出すものである。

次回は、心を動かす言葉の使い方について述べる。

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