2007年02月19日
昨年末に衛生士が一人出産のため退職した。それでなくても、人手不足。求人をだしても反応なし。おかげさまで患者数は増えている。毎日ドタバタの大忙し。さて、そんなある日、一人のスタッフが有休を申し出た。彼女はここに勤めて2年目。今では忙しい中、院長の先回りをして準備をしてくれる貴重な存在。さて、貴方はこのときどのようなリアクションをとるでしょうか?
1:今は忙しい時期なので事情を説明し、もう一人スタッフが入るまで待ってもらう。
2:『えっ有休』と一瞬とまどった表情をみせつつもシブシブOKする。
3:満面の笑みで『いつもありがとう。ゆっくり休養とってね』という
どのリアクションが今後の医院の雰囲気に影響を及ぼすかは明白だろう。私が考える院長力とは、『忙しい時に有休願いを出され、一瞬にして笑顔を創れる力』と考えています。
1:の院長は論外として、多くの先生は、有休は認めているものの、2:のリアクションをしていないでしょうか?スタッフが素直であればあるほど、先生の一瞬曇った顔を見逃しません。ガラスのように傷つきやすい心をもったスタッフもいます。先生のその一瞬の顔の曇りが彼女を傷つけているのです。『医院の雰囲気を良くしたい。スタッフに気持ちよく働いてほしい』と願うなら、まず変わる必要があるのは院長自身です。だって、スタッフはやっぱり上司の顔色をみているものです。いやな顔をされて有休をもらったら、休む側も気持ちよくありません。「忙しいのに申し訳ないな」と思いながらも休むスタッフ、院長の顔色が怖くて休めないスタッフ・・・どちらにしてもスタッフルームで不満は爆発しているでしょう。もしかしたら、本当に重要な理由で休むのかもしれません。想像してみてください・・・。
例えばあなたが家で奥様や家族に「きみのそばにあるリモコンとってよ」と頼むとします。ささいなことです。きっと奥様はリモコンを渡してくださるでしょう。奥様の近くにあるのですから。その時奥様から「はいどうぞ」と渡されるか、「私だってごはんの用意してるんだからそれくらい自分でとってよ」とブツブツいいながら渡されるか、どちらが気持いいかなんて明白ですよね。どうせとってくれるのだから、嫌味なんていわないで渡してほしいものです。「リモコンと有休は全然違うよ」と思われるかもしれません。でも、有休はスタッフに与えられた権利です。「どうせ休むのだったら」気持ちよく与え、与えられる関係が望ましいでしょう。そうすればスタッフから「すみません」のあとに「ありがとうございます」と笑顔もついて言葉が返ってきます。いつも頑張ってくれてありがとう。たまにはゆっくり休養をとってね。と日ごろのスタッフの頑張りに感謝し、満面の笑顔が瞬時に作れる院長。そんな院長がいる医院だと、とてもいい雰囲気になり、求人もすぐに見つかると思います。だからといって、いきなり数名に休まれると困ります。それは各医院が「有休の届出は原則として1ヶ月前」「他のスタッフと重ならない」などという決まりごとを作っておけば、スタッフも意識して早めに届出を出し、アポイントの調整も可能で、気持ちよく休み、翌日は元気に出勤し、「院長お休みありがとうございました。」といいます。スタッフは翌日、きっと他のスタッフに「昨日忙しかった?」と聞きます。他のスタッフは「うん、結構バタバタしたよ」とか「なんとか大丈夫だったよ」といいます。もしかしたら、本当はすごく忙しかったかもしれません。でも「すっごく忙しかった。なんでこんなときに休むの?」なんてことは言いません。「私もお休みを頂くことがある」という思いや「せっかくのお休み、有意義に過ごせてよかったね」という思いがあるからです。
医院はチームです。一人欠けたら全くダメ。なんてことはありません。お互いをフォローしあおう、という思いは、院長とスタッフよりも、スタッフ同士のほうが濃いでしょう。そうしていく中で、それぞれのスタッフも、医院の事情を考えながらお休みを希望する。という習慣がついていくのではないでしょうか?
「相手に変わってほしい」のであれば、「まずは自分が変わる」です。一人でブツブツ言っていたって、他人のせいで自分が不愉快になるだけですよね。簡単に人は変わりません。ましてや他人なのです。まずは院長からスタッフに愛情を持って接する。スタッフを必要としていることを知ってもらう。そうすればスタッフは、自分が必要とされていることを理解し、患者様のため、医院のため、院長のために頑張ろう!という気になるのです。求めるばかりでは、スタッフはすぐに嫌気がさしますよ。
医院の雰囲気は来院者、求人にも伝わります。特に来院者は、何か不安があり歯科医院に来られることが多いです。そういったマイナスの状態のとき、医院の雰囲気を敏感に察知します。それがいい雰囲気だと、ホッとし、知人に紹介し、求人の評判もよくなる・・・。いいことづくしです。よい雰囲気になるかどうかは、院長先生の態度次第。せっかくなら、普段頑張っているスタッフにゆっくり休養してもらって、また仕事の活力をつけてもらったほうが、どんどん未来が広がると思いませんか?