2018年09月28日
今回よりコラムを担当させていただくことになりました。
竹屋町森歯科クリニック 森 昭です。
メインテナンス患者が増加するための小ネタを紹介させていただきます。
どうぞよろしくお願いします。
先日他職種の学会に参加した時に、運動指導者から次のような質問を受けました。「バスケの神様と言われる、マイケルジョーダン選手は、ここぞという勝負時に、舌を出してプレーします。なぜでしょうか?」
さて、皆さんはどうお答えになられますか? ご本人は「癖」と言われているそうですが、私はここにはとんでもない身体能力の秘密が隠されていると感じています。
試していただきたいことがあります。
ジョーダン選手がドリブルをするように、腰を曲げ少し前傾姿勢になり、頭を上げ正面を向きながら”舌”を出してみてください。
出ないことはないけれども、出しにくいはずです。
“舌”というのは、アゴ下の筋肉が緩んでいる時に出しやすくなります。
アゴを引いた時に可動範囲が増え、出やすくなるのです。
反対に、アゴを上に突き上げた状態では、出しにくくなります。
ドリブルの前傾姿勢で、正面を向くということは、首とアゴの関係でいうと、アゴが上を向いている状態。
“舌”を出しにくい状態なのに、ジョーダン選手は自然に舌がでているのです。
スポーツ中に”舌”がでているということは、上下の歯をかみ合わせていない。
ということです。
上下の歯がかみ合った状態ですと、そこがシャッターのようになって、その前の”舌”が出るということはあり得ません。
“舌”が口の外にでるということは、当たり前ですが、上下の歯の間に最低でも”舌”がでるだけのスペースがあるわけです。
通常、アスリートの多くは、日常の筋肉トレーニング(無酸素運動)の影響で、集中した時に上下の歯を噛みあわせてしまうことが習慣化しています。
口を閉じる筋肉(咀嚼筋)が緊張して硬くなってしまっていることが常態化しています。
いわゆる歯列接触癖(TCH:tooth contacting habit)の方が非常に多いのです。
特に、ここぞという勝負時などは、ぐっと奥歯をかみしめることが多いのです。
そして、首回りの筋肉がパンパンに緊張している。こういう状態になっていることが多いのです。
しかし、ジョーダン選手はかみしめていない。
安静空隙がある状態です。
安静空隙があると、下顎が3次元的に自由に動き、頭部のバランスがとりやすくなります。
首の筋肉も過度に緊張しない。連動して、肩や腕の筋肉も緊張しない。
過度に緊張しないから、筋肉が適度に弛緩と収縮ができる状態、いわゆる柔らかい筋肉を維持でき、緊迫した場面でも最高のパフォーマンスが出せるということです。
マイケルジョーダン選手は、緊迫した場面でアゴの下の筋肉が緩んでいる。
上下の歯が接していない。
最高にリラックスしているということです。
ここにジョーダン選手の非凡さがあります。
次号はさらにジョーダン選手の非凡さを深掘りしていき、アスリートにオススメしたいオーラルコンディションイングについてお伝えします。
竹屋町森歯科クリニック 院長
森 昭