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口腔内からの健康増進を絡めた医院づくり【5】私の顔イボが取れたのは?

2018年11月30日


お見苦しい写真で失礼いたします。

「あること」を実践して3週間。
私の顔イボは隆起がなくなり、色もずいぶん薄くなりました。顔イボを消そうと思ったのではなく、あることをしたことでイボが消えたのです。

あることとは、口の中の咀嚼筋のストレッチです。

恥ずかしながら、私はTCH(tooth contacting habit、上下歯列接触癖)があります。
TCHの患者さんが晩年、お口や全身のトラブルに悩まされる姿を見て、自分に置き換え、必死のパッチ(編集部注:きわめて一生懸命な様子。主に関西地方で用いられる表現)でなんとかTCHを克服しなければと考えました。

TCH克服法として有名なのが、「行動変容療法」。
私もトライしました。お気に入りのPC、X線装置のスイッチ、チェアのモービルワゴンなどなどに赤いシールを貼り、気が付けば歯を離す。
でも、意志が弱いのか、飽き性なのか、続きませんでした・・・。
それでもっと、効果的な方法はないかと試行錯誤して、口の中から咀嚼筋をストレッチしていたら、いつの間にか顔イボが消えたのです。

図2のとおり、4つの咀嚼筋はすべて、頬骨弓内面に付着しています。
口の中でいうと、上顎7番の後上方の齦頬移行部のさらに上方を、近心から遠心に向かって指もしくは専用の器具を使ってストレッチします。
口の中は、皮膚がなく筋肉を触れるので、比較的簡単にストレッチできます。
いわゆる筋膜リリースといわれる、筋膜を押して伸ばす手技も比較的簡単に、そしてやさしい力加減でも効果が出ます。

私自身、2007年にMDE(メディカル&デンタルエステ)協会という団体を立ち上げ、デンタルエステなる手技を広める仕事もしています。
歯科衛生士にデンタルエステをしてもらうと、口の中のボリュームが広がり、安静空隙が確保されることを体験的に知っていました。
TCHを改善するためにもデンタルエステは有効であると感じていたのです。
ただ、あまり頻回に歯科衛生士にお願いするのも気が引け、なんとか自分でできないかと試行錯誤していたわけです。

結果として、デンタルエステは、自分でもできます。
もちろん、歯科衛生士にしてもらった方が圧倒的に気持ちが良いのですが、TCHの改善という観点からすれば、自分でするデンタルエステは非常に有効です。
就寝前にすると、咀嚼筋が緩むのがわかり、起床時のアゴの楽さがクセになります。
頬についた線も消えました。
舌についていた歯の圧痕もなくなりました。
パートナーによると、歯ぎしりやいびきもなくなったとのことです。

患者さんにもお勧めしていますが、しっかり実践してくださる患者さんには同様の効果が出ています。
エビデンスはありませんが、TCHの多くは、咀嚼筋の慢性筋肉疲労が関係していて、それを緩めることで、安静空隙が確保され、TCHやブラキシズムが改善されるのではないかという仮説を立てています。

そして、あなたがいちばん気にされている、「筆者の顔イボはなぜ消えたのか?」という問題は、最終回の次号でしっかりとお伝えさせていただきます。
イボだけでなく、ほうれい線や、リフトアップにも関係があります。
乞うご期待!

竹屋町森歯科クリニック 院長
森 昭