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歯科医院の清掃 ここがポイント【5】患者管理の整理と具体的すすめ方(実践編)

2011年06月06日

患者管理の必要性を組織として確認し、意識共有できたら、患者管理作業をすすめていきます。

つまり、どのような患者さんをメンテナンス管理下におくのかのルールが決定されたら、治療が終了しているのに定期健診に来院していない患者データ、定期的な歯周予防治療が必要である患者データを洗い出します。

インプラント患者についても、すべての患者さんをピックアップします。

今回は、歯周予防メンテナンス患者管理の方法をお伝えしていきますので、インプラントメンテナンス管理であれば、埋入本数や、上部構造のセット日などのデータを追加していただければ同じようにできます。

まず、エクセルデータに、左から以下の順で入力の項目を作成します。

 

〔1番目の列〕
「最終来院日」は、メンテナンス患者が来院された日とします。この列は常に新しい日付に更新されているのが望ましい状況で、リコール率が高く、メンテナンス来院率が高いと把握できます。メンテナンス期間中に新たな傷病が発生した場合は、治療が始まるので、メンテナンス管理下になるまで表からデータを抹消します。

〔2番目の列〕
「カルテNo.」はレセプトコンピュータに入力されているでしょうから、検索のため記載します。

〔3番目の列〕
「患者氏名」必ず必要です。

〔4番目の列〕
「メンテナンス期間」はそれぞれの口腔内の状況により期間は一律ではないと思います。インプラント治療後の自費メンテナンスなどの期間は、不定期なものです。また、この表に記載する時だけでなく、3ヵ月ごとに来院が必要である場合は「3ヵ月」と書くよりも「3M」と表記し、簡略化をはかります。インプラントメンテナンスであれば「i3M」と記載します。

〔5番目の列〕
「おおよそのメンテ期間と予約日」については、最終来院日に次回の来院をお約束できなかった方は、「おおよそのメンテ日」を記載します。たとえば1月15日が最終来院であり、次回は3M後のメンテで来院が必要な患者さんであれば、4月15日と記載します。3ヵ月後の予約が入れば、予約日を同じセルに入れます。4月15日/4月15日と同じセルに同じ日の日付が入っている場合は、次回予約を取って帰った方だと判断できます。この列は10日ごとに来院チェックを行い、おおよその予定日に来院されていない方や、おおよその日から数ヵ月も遅れて来院された場合などは、こちらがメンテナンスの日として求める期間内に来院されず、患者さんへのコンサルテーションの不足が認められるケースだと判断します。

〔6番目の列〕
「電話連絡」は5列のおおよその期間を過ぎた患者さんへの再インフォメーションを行った場合や、忘れがち、忙しい方など、電話連絡が必要な場合に記載します。医院で決めたルールで、必要な方へ連絡し、電話連絡済みというチェックをします。

〔7番目の列〕
「ハガキ送付日」は、電話連絡と同様に、各医院が患者さんへのアプローチをどんなルールで行うかを決めて記入します。

〔8番目の列〕
「特記」には、家族の方に来院の必要性を電話連絡した、引っ越しされた、しばらく海外に出張中など、まさしく特別な情報やスタッフ側の作業などを記入します。

〔9番目の列〕
「来院マーク」は、メンテナンス来院があれば「○」などの印をつけます。

 

基本データの作業は上記のとおりですが、今まで患者管理を行っていない医院の場合は、上記のデータを手書きで表作成します。

始めからPCデータですとPC作業に慣れていないスタッフには、負担がかかりますしデータの全体像が見えてきません。

患者管理の仕組みを定着させるまでは、アナログに作業することも必要だと感じます。

多かれ少なかれ毎日メンテナンス患者の来院はあると思います。

この管理システムを稼働させることの重要なポイントは、メンテナンス患者が来院するごとに来院マークをつけ、来院されていない中断者をどのようにリコールしていくかです。

すべてに「○」がつけば十分患者さんにコンサルテーションが行き届き、コンセンサスが得られた関係であると認められます。

ご承知のように、これからの歯科医院経営では、患者ニーズにどこまで応えられ、生涯通っていただける医院づくりができているかが、地域の評判につながっていきます。

患者管理ソフトを利用したり、自前でデータ管理できるフォーマットを作成したりして活用することもよいと思いますので、せっかくの来院者を手放しすることなく、自院で治療終了した患者さんを、生涯メンテナンス患者さんとして関わりあうようにしたいもので、口腔が未病管理され、患者さんが予防的な目的を持って来院されるような仕組みができあがれば、ベストです。