2014年08月28日
≪歯科医院はたくさんの水を使う場所≫
最近、開業時やリニューアル時の医院設計へのアドバイスも多くなりました。
歯科医院の日常業務では、お水にたくさん触れるため、
医院をクリーンに保つためには水周りの動線に気をつかいます。
そのため、医院スタッフの数や診療方針に則って手洗いのタイミングや
治療終了後はどの通路を使い、消毒滅菌室へ入り、どのシンクへ器具を運ぶのか
などの細かなシーンをイメージしながら図面を描くこととなります。
また、患者さんが使用する洗面シンクの大きさは大小あり、
待合室から洗面所を分離しゆったりと使えるようにしてほしい、
治療前のブラッシングスペースとして、最低2箇所は患者専用の
洗面スペースがほしいなど、医院によりさまざまです。
診療室内では、動線の中で適正な場所に手洗いシンクが配置されているのか?
それは動きのストレスなく使用できる配置なのか、治療中であれば
タイムロスなく手洗いでき、業務がスムーズに行えるのかなど、
医院にあった日常の手洗いをムダなく配置することに神経を集中し
イメージして、設計図へ落とし込みます。
このように歯科医院では、手洗いはもちろん、器具洗浄にもたくさんの水を使います。
今回はシンク周りや水場のクリーンについて、提案することにします。
≪クリーンを保つ前に汚れの除去を!≫
皆さんは、公共の施設で手洗いを使用することがあると思います。
見た目からどのような状態が清潔さをキープしていると感じますか?
私は公共の場であっても光るところは光っている、
溝があればその溝に水垢などがない状態、できればシンク周辺、蛇口やレバーに
水の付着や水滴の跡がないことを望み、シンク周りは水浸しになっていない
――これがクリーンな洗面所の理想的な状態です。
では、あなたの医院の中で、そのクリーンな状況が再現されているのか考えてみてください。
シンク周辺が汚れていませんか?
カビや水垢などあれば、医療現場ではもってのほか、まずは清掃してください。
キレイだなと感じる感覚は人ぞれぞれですが、カビ、水垢など、
本来そこにない付着物がついていたら除去しましょう。
クリーンに保つ以前に、まずは除去することです。
≪あなたの医院の清掃管理・清掃手順は≫
次に、クリーンに保つための日々の管理と清掃手順です。
ベストな取組から述べましたので、あなたの医院のレベルはどこか考えてみましょう。
(1)シンク周辺に水が付着したら、その都度専用クロスで拭き取る、診療終了後には清掃する
(2)午前・午後、診療中数回はシンク周辺を専用クロスで拭き取る、診療終了後には清掃する
(3)診療中はシンク周辺に水があってもそのままで、午前・午後の診療終了後だけ
シンク周辺を専用クロスで拭き取り、診療後は清掃する
(4)1日の診療終了後のみシンク周辺の清掃を行う
なお、拭き取りや清掃のレベルは次のとおりです。
・専用クロスで拭き取る
→水分を拭き取り乾燥された状態にすること
・清掃
→シンク周辺とシンク内を磨き、終了時にシンク内の水分は拭き取り、乾燥された状態にすること
≪基本はゴシゴシ汚れを取ることから≫
もちろん、ベストな取組を続けている医院さんでは、
水が飛んだら水分をすぐに専用クロスで拭き取ります。
なぜ、水分を残さないかという理由は、水滴をそのままにしていると、
水の中に含まれている塩素や有機物が蒸発したあとにシミをつくります。
輪っか状になったシミなどが多い場合は、水がそのままになっていると付着します。
付着物があれば、見た目も状態もクリーンさに欠けます。
患者さん用スピットンも、毎回水分の拭き取りをしていると、いつまでも新品そのままです。
スピットンを毎回拭き取り、シンク周辺の水分も毎回拭き取るなんて
そんな時間がない、そんな面倒なことできるわけがないと思われる方も
おられると思いますが、私の業務先医院さんは、それが当たり前の習慣と
なっていて、いつもピカピカで見た目もクリーンそのものです。
このように、クリーンに保とうとすると、汚してしまったら清掃すること。
経年的使用感があったとしても、新品の現状に戻すことを習慣にすれば、いつまでもキレイです。
これは1人ひとりが同じ意識や作業のゴールを決めておかなければ、医院全体で習慣化されません。
その根本は「ルールを守る」という、はじめの第一歩の意識統一こそ肝要なことです。
クリーンに保つコツはいくつもありますが、
決まったルールを守ることの大切さを今一度皆さんで考えてください。
患者さんが気持よく治療を受けてもらえる環境整備となります。
まずはゴシゴシ、シンクの汚れを取ってみてはいかがでしょうか
株式会社ヒンメル
代表取締役社長
歯科衛生士
田上 めぐみ
⇒ http://www.himmel.co.jp