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本物のプロを目指す歯科衛生士はここが違う【4】本物の歯科衛生士は後輩を本物に育てられる

2013年03月15日

【1】 技術指導だけでなく、組織づくりもできる

医院の規模に関係なく、歯科医院も社会の中でひとつの集団(組織)です。
その中で働く私たちは、医療人として個々が完璧なプロであることが求められます。
あらゆる職業でその道のプロたちが集団となり、組織化し、運営されているのです。
歯科医院も、1人ひとりが素人の集団では、プロフェッショナルな医療組織とはいえません。

本物の歯科衛生士であれば、クオリティの高い医療サービスを行うための組織づくりを真剣に考えなければなりません。
先輩歯科衛生士は、後輩が入ってきたらプロに育て、組織としても本物の集団の中で、早く組織に参加させ運営させる役割を担っているのです。

今回は、後輩の教育や指導方法、指導者のあるべき姿について考えてみることにします。

まずは、新人教育マニュアルをベースに、どのような手順でもって、教育をすすめるのか考えます。
その際、教育の大まかな流れは、(1)技術編、(2)医院独自の仕事編に分けて考えます。
技術編は歯科衛生士業務です、仕事編は医院清掃や設備などの管理、接遇応対や就業時に決定されたルールなど多岐にわたります。

技術編でプロの育成方法を考えてみましょう。
(1)技術については、歯科衛生士教本の基礎から項目をピックアップしチェックします。
歯科衛生士業務と診療補助業務です。
たとえばポケットプロービングであれば先輩が患者役になり、技術の確認をします。
問題があれば実務指導し、練習方法を伝えます。
(2)練習方法を伝えたら、医院業務中で練習時間の確保を先輩歯科衛生士が組み立てます。
練習の回数、中間チェック、最終チェックの時期を決めて自習、自己練習をさせます。
(3)練習が終わればチェックをします。
チェックする時は先輩と同じように、完璧にできるまで合格点をあげないという厳しい合格ラインでなくてもいいです。
何事も経験が必要ですから、今後伸び幅を考慮して努力を認め合格点をあげます。

プロを育成するには、先輩歯科衛生士の指導項目の選択、そして何ができれば合格にするのかといったまとめる力が大事です。
さらに、トレーニングの進め方、タイムスケジュールの組み立て方、医院業務全体に支障を与えずに、プロを育てる仕組みなどを考えることで、先輩の力量が問われます。

こうした教育を成功させていくためは、本物になるとはどういうことかを伝えることからスタートします。

・だれからも受け入れられる人間性である
・医院の中で調和のとれる人間である
・技術レベルが高く知識が豊富である
・医院や社会に貢献できる人間である
・素直であり、努力を惜しまない人間である

この場合、教える側の心(人生において仕事の位置づけを明確になっている)が出来上がっていないと、意見の食い違いや後輩が壁にぶつかった場合でも、それを乗り越え、目標へ突きすすませる指導ができません。

【2】 指導者として身につけておくべきこと

指導者とは、プロフェッショナルな歯科衛生士像へ近づけるためのサポーターです。
その責任と仕事への覚悟を持ってこそ、指導者自身も本物の歯科衛生士になれるのです。
この詰めが甘いと、後輩を指導している時にしっかりと牽引できず、育成指導に失敗を繰り返し、出来ていること、出来ていないことを把握できず、後輩歯科衛生士は右往左往させるだけになります。

結果、育成指導に失敗し、途中で投げ出し、踏ん張りがきかない歯科衛生士を育ててしまうのです。

夢や希望を持ち、歯科衛生士としての仕事についた新人や、資格を生かしやる気満々で復帰した後輩には、本物の歯科衛生士になるための覚悟を、じっくり初期段階において詰められるかが、本物の歯科衛生士を育てるときのキーポイントとなります。

その他に、本物の歯科衛生士としての指導者側に意識し身につけてほしいのは、次の点です。

□指導者は規則正しい生活習慣で心身ともに健康であること

□指導者は職場内だけでなくプライベートでも素行が良いこと

□指導者として知識、技術、コミュニケーションの技術が高いこと

□指導者としての「ひととなり」が良いこと

□指導者として後輩への配慮があること

□指導者として誰からも尊敬されること

□指導者としてプロ意識を持っていること

□指導者として医院全体のバランスがはかれる技量があること

□指導時間を決定する権限を持っていること

□指導する際、それぞれのパーソナリティを素早くキャッチし、その人それぞれに応じた指導方針を組み立てられること

このように、本物の歯科衛生士を育てることのできる歯科衛生士こそ、本物といえるのです。
さてあなたは、上記の質問で身につけていると、自信を持って答えられる項目はいくつありましたか?

 株式会社 ヒンメル 
 代表取締役社長・歯科衛生士
 田上 めぐみ
 http://www.himmel.co.jp