2013年04月12日
本物の歯科衛生士は、的確な予測と判断で日常業務を行っています。
仕事の先々を予測しながら指示したり、周囲を見渡したり、いわゆる先読みするスキルが自然とできている人こそ、プロの歯科衛生士といえるのです。
もちろん、患者さんの口腔内を治癒へ導くための予測は常に行っていると思いますが、患者さんの今を見て判断するだけでなく、過去・現在も含めて未来を予測する能力が必要となるのです。
その判断のブレを最小限にとどめられるのが、本物の歯科衛生士であるといっても過言ではないでしょう。
また、口腔内だけに限ったことではありません。
業務上のハプニングを予測して仕事をすすめる、院長と同じような視点で未来を予測する意識や感覚を持っている――これが、今求められているプロの歯科衛生士です。
私たちの仕事は、あらゆる方面からイレギュラーな状況を予測し、その対処を心や頭に準備しておかないといけないのです。
たとえば、こんな状況は多々あると思います。
担当患者さんの予約表を確認すると、数日先に普段から予約を守れない方の、自費補綴セットの予約が入っていたとしましょう。
その患者さんは、会社役員の方で大変忙しく、全国を飛び回っています。
予防処置予約で来院されていましたが、今は補綴治療の予約で通院なさっている方です。
予防処置で担当していた時には、東北地方で仕事をしてきた、沖縄で仕事だったなどといって、各地のお土産をよくいただきました。
本社には月の半分くらいしか出社できず、自宅にいる日数も限られています。
その自宅駅にこの歯科医院があります。
そんな多忙な患者さんの予約を見て、未来予測できる本物の歯科衛生士はどのような行動をとるでしょうか。
まずは、来院されると予測すると、補綴物がきちんと納品されるどうかの確認です。
日程を間違わず、確実に医院に納品される状況なのかをラボに念押しします。
もしも、何かの不手際で予約日にセット物がなければ大変な事態になります。
次に、多忙な患者さんへ今回の処置時間などをお伝えすることも含めて、予約日に来院できるかの確認と連絡です。
そのお電話で気をつけないといけないのは、一方的に「来院なさいますか?」だけであれば、医院サイドの都合のようになりますが、「いつもお忙しいことを存じておりますので・・・」という状況を思いやっての電話であることがわかる、優しい言葉を加えること。
その上で、「今回は、ご多忙な中やっと最終のかぶせものが入る大事な予約日なので確認させていただきました」など、患者さんの状況を予想しているからこその言葉を添えます。
なぜ確認することが必要なのでしょうか。
予約時間60分という枠が飛ぶことも予測しておかないといけないからです。
多忙なため患者さんが来院できなくなってしまえば、医院としても時間ロスになりますし、60分間チェアを稼働できなかったという事実は、経営にとっても大きな収益ロスになります。
また、前日確認では他の患者さんでは埋められませんので、最低でも3日前までに確認することが大切です。
このように、本物の歯科衛生士は、自分の予約業務の確認を行うための予約表確認作業であっても、患者さんのパーソナリティや生活背景、お仕事の状況など把握していれば、医院全体のことを考えた行動を受付者に指示したり、自分が気を回して先々の状況を判断したりできます。
本物の歯科衛生士は一点だけをみているのではなく、周囲の状況や患者さんをとりまく状況、数日先の医院状況など、多くの情報を集約し、未来状況を判断する能力が高いのです。
その結果、口腔内ばかりでなく、過去・現在、患者さんの未来を見られるようになるのです。
先々を予測できる歯科衛生士になるためには、普段から次の点を心がけてください。
・歯科衛生士業務に限らず、医院全体の仕事の流れを把握しましょう。
・先生の仕事の癖や性格を知りましょう。
・スタッフの体調や仕事に対する意欲などにも気づかいましょう。
・設備・備品・機器機材などのコンディションや状態を見る習慣をつけましょう。
・診療が滞らないよう材料や在庫状況を把握しましょう。
・患者さんの来院や予約状況を常に見る癖をつけましょう。
株式会社 ヒンメル
代表取締役社長・歯科衛生士
田上 めぐみ
http://www.himmel.co.jp