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税務会計ミニ情報 相続税編 –民法の規定による法定相続人の順位・法定相続人の範囲– ~その2~

2006年03月06日

今回は、遺言書がない場合の法定相続についてです。特に遺言書がない場合には、民法のきまりに従い相続することのできる順位と、相続分が決まります。
わかりやすい場合はよいのですが、もめて“争続”となりそうなケースなどでは、戸籍謄本をとりよせて慎重な判断をしなくてはならない場合もあります。
例えば、Mさんが亡くなった場合、一般的にはMさんの保険金なども含めた財産全部は、配偶者(夫あるいは妻)と子供が権利を承継します。しかし、子供のないときや、配偶者がいないときなどはどうなるのでしょうか。今回はケースにわけてみてみましょう。

■ 法定相続人の間における順位 ■
ある人Mさん(被相続人という)が亡くなると、
(1)Mさんに配偶者がいる場合には、配偶者は必ず相続人となります。
(2)Mさんに子がいる場合には、配偶者と子が相続人となります。
子が亡くなっていても孫がいる場合には、孫が相続人となります。
子と孫がなくなっていても曾孫がいれば、曾孫が相続人となります。
※このようにMさんの孫や曾孫が、その親(Mさんの子供)がもらうはずであった財産を相続することを《代襲相続》といいます。
なお、子には、胎児、養子、非嫡出子(結婚外にうまれた子)も含まれます。ただし、胎児が正式に相続できるのは誕生してからになります。
(3)次に、Mさんに子がいない場合や子とその代襲相続人が先に亡くなっている場合です。
1.Mさんの両親が存命であれば、両親と配偶者が相続人となります。
両親が片方だけの場合も、片方の親と配偶者が相続人です。
2.両親とも亡くなっている場合には、祖父母と配偶者が相続人となります。祖父母もすでにない場合には、さらに曾祖父母以上に遡ります。
3.2において遡れなくなると、次は兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹が亡くなっているときは、兄弟姉妹の子(つまり甥や姪)が相続人となります。しかし、兄弟姉妹の場合に相続人になれるのはその子(甥と姪)までで、すでに亡くなっていても兄弟姉妹の孫は相続人にはなれません。

■ 今回のポイント ■

□ 配偶者 □
すなわち、配偶者は常に相続人となり、ほかに、子孫→両親以上の尊属→兄弟姉妹の順で相続人となっていきます。

□ 相続権 □
相続人は、男女の別、年齢を問わず、結婚して 姓が変わっても相続権がなくなることはありません。また、養子も相続権を持ちます(被相続人に対する人数制限あり)。そして、他の家に養子にでている場合にも実家の相続権は失いません。

□ 離婚と子供 □
また、Mさんが離婚している場合に、子供を配偶者が引き取っているケースであっても、その子供のMさんに対する相続権がなくなることにはなりません。

□ 代襲相続 □
また、相続人が早世した場合だけでなく、欠格や廃除によって相続権を失った場合にもその者の子が代襲相続します。
※欠格や廃除とは、簡単にまとめれば、被相続人に対して悪いことをしたとか、相続に関して不正を働こうとしたなどの理由で相続できなくなることです。

□ 相続放棄 □
ただし、相続人が相続を放棄した場合には、放棄した相続人の子が代襲相続することはできません。