2006年01月16日
相続税は、特定の人に集中した富を社会に還元する意味を持っており、税法の中では、被相続人の「一生を通じた所得税の清算」という位置付けがされています。ですから、これまで人生の苦労をともにされてきた奥様には財産の半分までは、税金がかからないようになっていますし、就学中の子どもや、身体に障害をお持ちの場合など、その事情を考慮した特別の控除額なども定められています。税法も、いろいろそれなりに工夫されているわけです。
平成元年に亡くなられた故松下幸之助氏の遺産総額は、2450億円と高額遺産のトップ更新となり、相続税も854億円と歴代トップとなりました。社会還元といわれると、「なるほど!」と思います。でも、いざ自分のこととなると「税金をとられる」という感覚になってしまうのはなぜでしょうか。
さて、今回と次回の2回にわけて相続で大切な期限とポイントについてお話します。
1. 死亡届
人が死亡した場合、死亡診断書または死体検案書を添付して、死亡地・本籍地・所在地のいずれかの市町村役場に死亡届を提出します。この提出によって、葬儀のための死体埋火葬許可書がもらえるわけですが、同時に被相続人の預貯金も凍結され、引き出しは出来なくなります。
この預貯金の解約あるいは引き出しに際しては、遺産分割協議書に全員の印鑑と印鑑証明を添えて銀行に提出することになります。そのため、葬儀の代金とかお布施とかでお困りになられる方が結構いらっしゃいますのでご注意ください。
2. 遺言書
遺言書を発見した場合、家庭裁判所で検認の手続や開封手続をすることが必要です。遺言書の提出を怠ったり、検認を受けないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で勝手に開封した場合には5万円以下の過料に処せられます。
3. 法定相続人の確定
法定相続人となるべき人は、被相続人に子どもがあるかないか等によって変わってきます。また、ドラマだと、隠し子がでてきたり、秘密の養子縁組があったりしてもめる筋立てになっていたりしますが、実際に税理士の相続税の試験問題もそういう出題になっています。戸籍謄本をとりよせて、慎重な確定が基本となります。
4. 相続放棄・限定承認の申出
相続を放棄または限定承認する場合には、原則として相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申出をする必要があります。負債も相続財産ですから、多額の借金を相続することになる場合もあります。この場合にはこの申出をすることによって、相続人とならないことができます。
この「相続を知った日」というのは、たいていは亡くなられた日ですが、遺言書に基づいて連絡があって初めて相続を知った・・などという場合がありますので、その場合には「相続を知った日」から起算することになっています。
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