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税務会計ミニ情報 相続税編 –民法の規定による法定相続人の順位・法定相続人の範囲– ~その1~

2006年02月20日

つい先日、相続税の申告をひとつ無事に終えることができました。相続税の申告が必要なのは、人口の約5%にしか過ぎないと以前お伝えしましたが、今回は法定相続人が全くなくて、相続税がかかるほど財産があったというとても珍しいケースでした。
その遺産のほとんどを、公益を目的とするところを選定して寄付し役立ててもらってほしい旨の遺言書がありましたので、相続税の申告期限までの10ヶ月は、総遺産の確定と遺贈先の選定にゆっくり時間を使うことができました。
けれども以前千葉で同じようなケースがあり、8億以上もの財産を千葉市に遺贈する旨の公正証書の遺言を残してありましたが、取引先の銀行員や近所の人の横領、姪っ子などの遺産争いで、遺産が千葉市にわたるまでに6年以上もの年月を必要としました。
相続は遺言書がものを言いますが、何通も発見されたり、不自然であったりすると、その有効性の判断を裁判にゆだねるしかなくなってしまいます。ここでもルールにのっとるということが重要になってきます。
今回からは、「どれだけ相続できるか」という相続分に大きく影響する民法の法定相続分と遺言について3回にわたってご説明します。

■ 遺産の分割 ■
相続の手続は、遺言がある場合とない場合とで大きく異なります。

◇遺言がある場合◇
まず、遺言が残されている場合の遺産は、原則として遺言で指定されたとおりに分割されますので、相続人、受遺者(相続人ではないけれど遺産をもらうことになる人のこと)の間で遺言どおりの分割をします。具体的に財産が指定されている場合(指定相続という)分割についての話合い(遺産分割協議)は不要となります。

◇遺言がない場合◇
次に、遺言がない場合、あるいは残された遺言が法律的に有効なものではない場合には、民法の規定に従って、相続人になれる人(法定相続人という)の範囲と順位が決まります。
そして、相続人が集まって、法定相続分割合にしたがって、財産の種類や取得分の合計額でもめないよう遺産分割協議を行います。

◇法定相続人◇
民法の規定により法定相続人になれる人は、配偶者(法律上の夫または妻)、子(直系卑属)、父母(直系尊属)、兄弟姉妹(傍系血族)の4種類の立場の人に限られます。
基本的には、配偶者と子ですが、相続の場合“子”の存在が大きく、その有無・生死によって、父母や兄弟姉妹、孫が法定相続人となります。
ですから、遺言がない場合には、実際の生活をともにしていても内縁の妻や夫はもちろん、たとえ親族であっても子の嫁や婿、叔父・叔母などは遺産を相続することはできません。
もし、内縁の妻や夫、子どもの嫁や婿、孫、叔父・叔母など特定の誰かに遺産を残したいのであれば、これらの者を受遺者とする遺言書(○○に相続させるというもの)を作成しておく必要があります。