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できるスタッフ、できないスタッフ ここが違う【5】患者さんに真摯(しんし)に対応できる人とできない人の差

2015年12月07日

(1)「対応しているつもりです」は自分側の視点

全国各地の歯科医院に、患者満足度調査と不満足度改善分析でおうかがいさせていただくことがあります。

患者さんから“不満足”と評価されたスタッフを観察させてもらい、
その後、気になるいくつかの点に関して、ご本人とお話をさせていただきます。

しかし、「患者さんに雑にかかわろうと意識して、患者さんに接していますというスタッフ」と出会ったことはありません。

もっとも、雑にかかわる人が「患者さんを大切にしよう」と意識していることも少ないものです。

患者さんと真摯に対応できない人は、
たいてい「やっているつもりです」「できているつもり」と自分側の視点で、
勝手に合格点をつけています。

しかも、他人からの指摘に素直でないのが特徴です。

(2)患者さんと真摯に向き合うために記録を取る

私たちが日ごろ、いくら
「臨床現場で患者さんを大切にする」
「患者さんと真摯に向き合う」

と言葉で宣言していても、相手が生身の人間であり、人の評価は多様化しているため、
「患者さんに真摯に向き合う」「患者さんを大切にする」と宣言したからといって、実現できるものではありません。

真摯に対応できるようになりたいと思うなら、やはり自分を振り返ってみるための記録を取り、改善案を立案し、小さいことから実行してみましょう。

(3)記録の取り方と改善案

【トライ1】 出来事を書く

今日は、長時間待たれた患者さんから、不機嫌に次回の予定を聞かれた。

【トライ2】 感情を書く

例)
A:長時間待ってもらっているのは悪いと思うけれど、治療が長引いているのは私のせいじゃないし、早く勤務医の治療が終わらないかな?

B:長く待たせている患者さんが不機嫌になるのも仕方がない。勤務医の先生も診療が伸びて大変かもしれないけれど、どこかのタイミングで、次回の予定を確認したいな。

【トライ3】 行動を書く

例)
A:患者さんに勤務医の治療が長引いていると伝え、あとで確認して電話をしますと伝えた。

B:勤務医のちょっとした診療の隙間を見つけて、次回の予定を聞き出すようにした。

【トライ4】 評価と改善をする

例)
A:面倒という感情にならないよう、次回は○○先生と院長をしっかり観察して聞く努力をしてみたい。

B:引き続き、患者さんと歯科医院を、良好な関係でつなげられるようがんばりたい。

患者さんに真摯に向き合えるスタッフは、常に自分と患者さん、そして歯科医院の視点を持っています。

それに対して、患者さんに真摯に向き合えないスタッフの特徴は、
常に自分側からの視点と自分の感情のみで患者さんとかかわってしまいます。

患者さんと真摯に向き合い、コミュニケーションをしっかり取っているつもりでも、
患者さんは「ただ話しかけている」としか思っていないことが多々あります。

その結果、この医院は私に合わないと判断して、
「忙しいので、また連絡させていただきます」と、嘘をいって通うのをやめてしまう事態が生じます。

スタッフは「○○さんは、仕事が忙しいので、落ち着いたらあちらから連絡をくれるといっていました」と、
患者さんのやさしい嘘に気がつかずにいるのでしょう。

素直というには、あまりにも患者さんに対する関心がなさすぎます。

患者さんに真摯に向き合えないスタッフは、まずは簡単な行動記録と改善からスタートしてみましょう。

大事なことは「自分が変われば、周囲の見方も変ってくる」ということです。

(有)エイチ・エムズコレクション 代表取締役 
歯科衛生士
濱田 真理子
http://www.m-dental.com/