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増患のためにスタッフができること【5】歯科衛生士が予防分野で取り組める増患の前提条件

2013年06月17日

1 患者さんに予防で継続来院してもらうには・・・

歯科衛生士には、患者さんに歯科医院に継続来院していただくために、絶えず考えておくべき必須事項が2つがあります。

★初回メンテナンスを大切にする★

★純利益を大切にする★

ちょっと「純利益を大切にする」という点には違和感のあるスタッフも多いでしょう。
ちなみに、スタッフに

【歯科衛生士分野で純利益を生むためにできることは?】

と質問を投げかけると、

「患者さんの数を増やす」
「使用する備品を工夫する」
「物品販売をする」

という答えが多く返ってきます。

確かに、大事なことです。
しかし、単純に患者さんの数を増やせば純利益が出るわけではありませんし、費用対効果を考えるあまり、使用する備品を節約することにエネルギーを使うと、どうしても保守的な施術になりがちで、スタッフのより良いケアへのモチベーションが向上しにくくなります。

物品販売やカウンセリングを充実させるために、さまざまな商品を仕入れたり、それに対応するスタッフを増やしたりしていると、結果的に人件費その他で圧迫されて純利益が減ってしまっている、という歯科医院は少なくありません。

純利益を大切にするというのは、経費の節約に走ることではありません。
予防歯科を提供すべき歯科衛生士が、他のサービスに専念して売上を増やすことでもありません。

「1人の患者さんを診ている施術の時間は適切か?」
「その施術には適切な商品を使用しているか?」
「効率良く、さらに患者さんにとってメリットのある予防を提供しているか?」

を自問自答してください。そもそも、歯科医師の行う施術より、歯科衛生士が使用する材料費・技工費用などは、かなり低い割合になりますから、歯科衛生士分野のメンテナンス率をアップすることには大きなメリットがあるのです。

2 最初が肝心――初回のメンテナンスの後味こそ重要

治療から予防に移行して、歯科衛生士が最初に行った施術の後味が、患者さんのその後の

「ここに来続けよう」「もういいや」

と思うかの分かれ道になるとしたら、絶えず次の点をチェックすることです。

□患者さんの口腔内に気持ちの良い施術を提供できていますか?
□患者さんにとって後味の良いメンテナンスに取り組んでいますか?

では、患者さんが来院中に、この歯科医院のメンテナンスに定期通院するか、しないか、患者さんが自分自身の心に、その答えを出すタイミングはいつでしょうか?

それは

「歯科医師からていねいな治療説明を受けた時」
「歯科衛生士からメンテナンスの重要性の説明を受けた時」
「最後の治療が終わってキレイな歯が入った時」

でしょうか。

弊社が定期来院を積極的に行っている患者さんへの調査では(2012年)、患者さんが治療から予防に移行して、歯科衛生士が最初に行った初回メンテナンスの時という結果でした。
それも、その初回メンテナンスが“また受けたい”と思うほど、後味の良い、気持ちが良い時です。

そのためにも、歯科医師の治療がいったん終了して、患者さんが治療から予防ゾーンに移行してきたら、まずは患者さんはどのような人で、どんな価値観で、どんなところが気に入って、またはどんな理由で最終的にこの歯科医院を選んでくれたのかを、正確に把握していく必要があります。
患者さんの本音を手に入れるのです。

患者さんが大切に思っているものが、次のどれなのかをしっかり聞き出しましょう。

●パーソナル思考で歯科医院と関わっているのか?
●ヘルシー思考で歯科医院と関わっているのか?
●ビューティ思考で歯科医院と関わっているのか?

医院のコンセプトや大事にしていることと、まったく異なる患者さんが来院すると、その後にいろいろなトラブルが発生するケースが多いからです。
歯科医院が大事にしている予防の考え方と、患者さんが求めていること・大切にしていることが違う場合は、無理をして予防に移行しないことです。
それが、結果的には健全経営につながります。

予防を期待しないで来院した患者さんの中には、カウンセリングをしても

【そんなこと、歯科医院に期待していません】

といって来院しなくなる人もいますが、それでいいんです。
患者さんが継続来院しないことは、一見問題のように感じますが、どんな患者さんでも強引に予防ゾーンへ移行させようとすると、歯科医院としての差別化ができませんし、歯科医院の大事なことが崩れていきます。

その上、無理に来院させたケースは、たいていの場合、自主的継続来院につながることはありません。

 有限会社エイチ・エムズコレクション
 代表取締役社長
 濱田真理子
 http://www.m-dental.com/