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増患のためにスタッフができること【2】患者満足は「接遇の善し悪し」で決まる!

2013年05月10日

弊社では2003年までは「患者満足度調査」を続けてきました。
しかし、患者さんとスタッフが密な接触にある歯科医院の場合、満足度調査では、患者さんがあまり本音を書かないという状況に苦戦してきました。
口頭では「ちょっと○○なのよね」といってくれるのに、紙には残してくれないのです。

山口県のある歯科医院での事例です(患者数は50)。
評価は大変満足・満足・普通・不満・大変不満の5つの項目にチェックしてもらっていました。

患者さんは、歯科医師に対する評価について、約8割が大変満足と満足にチェックがついていましたが、スタッフの接遇・対応に関しては、大変満足1名、満足9名、普通30名、不満7名、大変不満0名、無記名3名となっていました。

この結果に、スタッフも歯科医師も「良かったぁ。大変不満が誰もいない。患者さんの満足度は約8割だ」という評価をして喜んでおりました。
歯科医師は 大変満足5点・満足4点・普通3点・不満2点・大変不満1点と計算したそうです。
本当の評価は、大変満足2点・満足1点・普通0点・不満-1点・大変不満-2点ですべきでした。

私は、とりわけスタッフへの評価には「本当にこの評価であっていますか?」「不満が7名をどうとらえますか?」という疑問を持ったのです。

「普通というのは満足している状況ではない」
「不満の7名は放置してはいけない」

どんなに歯科医師が素晴らしい治療を提供しても、歯科衛生士がどんなに一生懸命にメンテナンスをしても、患者さんがその歯科医院で嫌な気持ちや残念な感情が繰り返し続くと、「治療さえ終わればいい」という気持ちが大きく芽生えてきます。

そして、治療がいったん落ち着くと、「今、ちょっと忙しいので」「また連絡します」など、患者さんは通い続けない理由を必死にさがします。
これは、患者さんの心が医院から離れていっているシグナルです。
もしこの状況を生み出しているのが、医療スタッフの接遇だとしたら、早急に対策を打つ必要があります。

医療スタッフの接遇や雰囲気の良さが、患者さんに「またこの歯科医院にきたい」「友達を紹介してもいいな?」と思わせるために、最大の影響力を持っているからです。

そこで、弊社では2003年以降、患者不満足度調査と覆面調査(モニターが歯科医院に患者さんとして訪問し、200点満点の評価項目を採点する方法)を導入しました。
その結果にもとづいて、医療接遇の研修に入り、before‐afterで、増患につながった医療接遇改善7つのポイントをご紹介します。

【受付編】

(1)あいさつの時に必ず目を合わせて優しい笑顔で対応してくれる
  ⇒目を合せます。

(2)診察券や保険証をとてもていねいに取り扱ってくれる
  ⇒患者さんにとって大切な保険証は常に両手で取り扱いすぐに返します。

(3)帰りに必ず「何かご質問ありませんか?」と聞いてくれる
  ⇒清算やアポイントに夢中にならない。患者さんの様子を確認してからアポイントを取るようにします。

【スタッフ編】
(4)自分の名前をフルネームで呼んでくれる
  ⇒誰でも自分の名前をきちんとおぼえてくれたら嬉しく、親近感がわきます。

【アドバンス編】
(5)患者さんを新患1名と数えない。名前を覚えてフルネームで呼ぶ
  ⇒受付から診療室内へ誘導時、ユニットに座っていただきエプロンをかける時、待っていていただく時。最低3回は患者さんの名前を呼ぶのを癖にしましょう。

(6)院長・歯科医師には尊重した態度・会話で接する
  ⇒実際に治療してもらう歯科医師に尊敬の念が感じられなかったり、ぞんざいな対応したりすると、その姿は患者さんに見られています。歯科医師に対する態度や会話を大切にするのは、目の前の大切な患者さんのためです。この項目で、歯科医院のレベルを評価されてしまうことがあります。スタッフは十分気をつけるべきです。

(7)歯科医院に個性は大事だが、医療内容に個性は必要ない
  ⇒医院側がやりたい医療を主役にすると、患者さんが置き去りになります。患者さんの気持ちにきちんと寄り添う治療や接遇を大切にしないと、患者さんは理解できない個性より、信用できそう安心できる歯科医院に移っていきます。

「歯科医院を利用してもらうことより、先に信用してもらうこと」を大切に考えるべきです。
今、来院されていない患者さんと出会い続けたいのなら、今、来院されている患者さんを心から大切にしましょう。

医療接遇を向上させる――これは医療人として、医療器具を持つ前の当然のことです。

 有限会社エイチ・エムズコレクション
 代表取締役社長
 濱田真理子
 http://www.m-dental.com/