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歯科医院の清掃 ここがポイント【4】分類別患者管理のすすめ(考え方編)

2011年05月16日

医院の整理整頓という視点から、医院の状況を見直したとき、治療終了患者のデータ整理と管理システムが、きちんとなせれていないケースが目につきます。

治療あるいは初期歯周治療が終了し、口腔内に何も疾病がない状態になった患者さんの、その後のフォローができていないのです。

これでは、患者さんに対して無責任であり、大事な患者さんを手放してしまう結果になりかねません。

そこで、患者データ整理と管理システムを構築する前段階である「スタッフの意識共有化の必要性」を、メンテナンス患者管理に絞ってお伝えしていくことにします。

私は「メンテナンス」と「リコール」の位置づけを、次のようにはっきり区別して考えています。

・メンテナンスとは、患者さんも医院も「予防処置」の重要性を理解し、双方ともに未病で生涯付き合う仕組み

・リコールとは、定期的な予防(メンテナンス)の中期に、傷病の経過を観察するために必要と、医院側の判断で患者コンサルテーションをしている状況

このように区別して、それぞれの患者管理を行うように指導していますが、スタッフのみなさんからは、患者さんに対して何をすべきかが「わかりやすく、やりやすい」という声を多く聞きます。

私が関与している歯科医院の多くは、しっかりとした患者管理が行われています。

とくに大規模の医院さんであれば、インプラントメンテナンス患者数や、歯周予防メンテナンス患者数は、開設年数に比例し、相当なデータ数になっていますが、すべての患者さんの様子が手に取るようにわかります。

この記事をお読みいただいている先生の中には「あの患者さんしばらく顔を見ていないけど、気になるな」という思いをなさった経験は少なくないでしょう。

そんな時、自院の患者管理システムができていると、簡単に患者さんのデータを取り出せますから、すぐ患者さんへのアプローチできます。

そのため、私は、インプラント患者や予防患者管理を、スタッフが誰でも使用でき、かつ簡単でシンンプルに、患者さんの来院動向がわかるように、エクセルデータで整理と管理ができるように指導しています。

ただ、いきなりパソコン画面上で分類別患者管理を行うといっても、なぜ患者管理が必要なのかを、スタッフに十分理解してもらわないと、スタッフは戸惑うばかりです。

そのため、分類別患者管理を行うには、第一段階としての「スタッフの意識づけ」「意識の共有化」が必要です。

まずは院内の意識統一をはかるため、院長先生が自院で治療した患者さんの将来像をスタッフへ伝えることが大切です。

患者さんは大きく分けると、次のようになります。

・緊急処置だけで治療の継続を望まない患者さん

・困ったところだけ治療を望む患者さん

・全部おまかせの患者さん、悪いところはすべて治療を望む患者さん

・そして、来院当初は、口腔内の健康は、予防管理によって維持できることを知らず、治療中や歯科衛生士の指導で、自らメンテナンスの必要性を理解し、行動変容を起こした患者さん

ですから、来院の際、患者さんごとにニーズを聞き出す仕組みをつくり、治療回数を重ねるごとに、最終的にメンテナンスの意識が根付いた患者さんとなるように指導していく必要があります。

つまり、生涯医院と関わりあうことで、口腔内を健康な状態に維持することの大切さを、患者さんに理解していただきます。

そのためには、メンテナンスの重要性を伝えるスタッフのスキルも上げる必要があります。

まずは、初期段階として「当医院のメンテナンス患者とは、○○○な方たちであり、一生通っていただく仕組みをつくり、患者さんを管理することは、今後の自院にとって必要不可欠であること。

そのためにも、決定されたくルールを徹底的に守ってもらうようにすることが必要だ」と宣言します。

そして、もっともに大切なことは「痛くなったり、困ったり、患者さんが傷病に気がついた時だけに来院・加療することは、患者さんの口腔内、ひいては健康を害することだ」と断言することです。

とにかく、医院組織として「患者さんの口腔内を健康にしていくことが、私たちの責務だ」ということを、スタッフ全員が、共通の理念として持つ必要があります。

現時点で医院側がなんら患者管理を行っていない場合であれば、院長先生がこのことをまず宣言することです。

 

次回は、分類別患者管理の具体的なすすめ方をご紹介します。