2010年10月18日
クリニックで働いているスタッフは、さまざまな出来事に遭遇し、時には自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
すべての経験を通して学んだことは、やがてはその人の力となって養われ、自信につながり、新たなチャレンジへと広がります。
「失敗から学び、今以上の自分をつくる!」 ― 誰もがそんな前向きな姿勢ですすんでくれたなら苦労はないのですが。
現実はそんなにスムーズにはいきません。
立ち直りが早く、気持ちを切り替えてすすんでいけるスタッフもいれば、ずっと落ち込んでいるスタッフもいます。
自信を失い新たなチャレンジを恐れ、さらに自己嫌悪に陥るといった、悪循環になることも少なくありません。
スタッフの背中を押して激励しても、このような心の状態では力を発揮することは難しく、組織力のアップを目指したくても思うようにはいきません。
そこで、今回はスタッフの心の状態に合わせた効果的なアプローチ法についてお話しましょう。
<まずはスタッフの心の状態を見極めることが重要>
スタッフの落ち込み、その中には必ず感情が存在しています。
たとえば度重なるミスから落ち込んでしまっているスタッフがいたとしましょう。
まずはスタッフの心の状態を聴きます。
その出来事に対して、どのような気持ちを抱いているのでしょうか?
自分は本来できるはずなのにと、悔しい気持ちを抱いているのでしょうか?
あるいは、自分には能力がない、どうせこの先も何をやってもムダだと悲観的になっている状態なのでしょうか?
<心の状態に合わせたアプローチを!>
前者のように自分に対して「いらだち」を感じているようであれば、その悔しさには大きなエネルギーが存在していることを伝えてください。
そして、そのエネルギーは“自分を高めていくためのエネルギー”であることに気づかせてほしいのです。
人は、自己嫌悪に陥った際に「自分はこんなはずではない!何をやっているのか!情けない!悔しい!」と、自分に腹立たしさを感じる場合があります。
そこには、自分を変えようとしてする意識が働き、新たな可能性が広がります。
そんな時は「なぜ、このようになってしまったのか?そこから何を学んだのか?
今後、どうすればよいのか?」と問題に直面させ、客観視を促すことで、スタッフ自らの中に答えが得られます。
その意識が行動を変え、スタッフは成長していくのです。
一方、悲観的になり、自信を失っている状態が続くスタッフには「頑張れ」という言葉は禁物です。
気分が低下し、心が疲れている状態であることをご理解ください。
そのような状態で頑張り続けたとしても、スタッフ本人のもっている能力は発揮できません。
悲観的な気持ちは、さらに絶望感を招き、悪循環に陥ります。
そんな時には、こんな例え話はいかがでしょうか?
「ガソリンの切れた自動車が走り続けても、やがて動かなくなってしまう。まずは給油し、休めることで、再び快適に走ることができる。今はまず、焦らずゆっくりとすすむことが必要。気持ちに余裕ができれば、活力が湧いてくる」
そう促し、支援姿勢を示してあげるとよいでしょう。
人は、嫌な出来事そのものに苦しんでいるのではありません。
その出来事を通して生じる感情に苦しんでいるのです。
ゆっくり睡眠をとることで、気分や感じ方が変わります。
意欲・集中力はそこから生まれ、再び新たなチャレンジができるようになります。
スタッフの心の状態を見極め、的確なアプローチを是非、試みてください。