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患者さんの言動から性格をつかむコツ【6】 こんな患者さんには、こんな対応を!≪Part6≫

2009年12月21日

患者さんの性格を見抜き、患者理解を深めた上で、その効果的な対応法をご紹介してきましたが、最終回は“モンスターペイシェント”といわれる、自己中心的で他の患者さんを巻き込んだり、無理な要求をしてくる“困った患者さんへの対応”を取り上げることにします。

 

★患者さんチェック! こんな患者さんいませんか?

1) 予約をキャンセルすることが多い患者さん

予約をとっているにもかかわらず、キャンセルが多く、時には連絡なしのドタキャンセルも。

2) 自らの主張を通そうとする患者さん

予約日を無視して「この間は都合が悪かったので、きょう診てもらいたいのだけど」といきなり飛び込んで来る患者さん。

予約時間を大幅に遅刻してきたにもかかわらず、ここもあそこも一度に治療してくれと要求してくる患者さん。

3) 無理な要求をしてくる患者さん

保険外の治療を希望する患者さん、しかし、さまざまな理由をつけて治療費用を下げるよう要求してくる患者さん。

どう考えても適切な方法ではないことを説明しても、聞く耳もたず、治療の指図をしてくる患者さん。

4) 些細なことでも怒りだす患者さん

些細なことで文句を言いだす患者さん。

周囲を気にすることなく、時には大声をあげて怒りだし、他の患者さんに迷惑をかける患者さん。

5) 他罰的な患者さん

しっかりとした説明の上で、患者さんは同意した治療のはずなのに、後になって「この治療はドクターのすすめでやったのだ。私はやりたくなかったのに……」「そんな説明は聞いていない!」などと文句を言いだす患者さん。

TBIの際には、患者さんに口腔内状況を説明すると「歯周病のケアは、歯科衛生士に任せているのにちっとも結果が出ていないじゃない」などと怒りだす患者さん。

さらには、納得がいかないので、「治療費を返してくれ!」あるいは「払わない!」と言いだす患者さん。

 

★上記の内容の中で、3つ以上当てはまる患者さん!
そんな患者さんには次のような対応が効果的です。

●患者さんのペースに巻き込まれない姿勢を!

たび重なる予約のキャンセル、予約を無視して飛び込みの来院、無理な要求をしてくる患者さん、そんな患者さんに対しても“患者満足度”を高めなくてはと思うばかりに、つい、こちらも患者さんの言うなりになってしまうこともあるかと思います。

しかし、そうすることで、他の患者さんに迷惑がかかってしまったり、診療の質が落ちてしまうことも少なくありません。

診療にあたってはしっかりとした「枠組み」を設定することが大切です。

それぞれのクリニックに応じて、必要な項目を「お約束」として記載した文面をつくり配布することも効果的です。

同時に、口頭では「○○さんのために良い治療をご提供させていただきたいので、お約束へのご理解とご協力をお願いします」と加えるとよいでしょう。

●ハプニングの際はゴールを決める

治療を終えて、「治療費を返せ」「治療費は支払わない!」など、不条理なことを発言する患者さん、つい面倒になり、そのまま受け入れるケースも多いようですが、こうした患者さんが複数出てしまったらどうでしょうか?

的確な理由がない限り、そのまま受け入れてしまうことは、他にも同様の“困った患者さん”が来院した場合、同じ対処をしなくてはならず、かえって新たな問題を招くことが考えられます。

また逆に、こうした患者さんに対しては「謝ったら負け!」という考え方があるようですが、患者さんの気持ちへの労いは必要です。

“患者さんへの労い”は、患者さんの訴えに対する謝罪という意味ではなく、出来事を通して生じた患者さんの気持ち(辛い思いをした、不自由だった、苛立ったなど)に対しての労いです。

そうした患者さんの気持ちを理解したという姿勢を示すことで、患者さんの気持ちは緩和されていきます。

その上で、こちらの意見もしっかりと示していくことが大切です。

このようなハプニングへのゴールは、白黒と決着をつけることが目的ではなく、こちらの言い分も主張しながらも、患者さんとの折り合いをつけることが求められます。

患者さんの気持ちを労った上で、的確に、しっかりと打ち出した「提案」をしていくことが大切でしょう。