2010年12月20日
(1)“2:6:2”の法則を新しい組織づくりに応用
突然ですが、組織の中で生じる“2:6:2”の法則というのをご存知でしょうか?
ビジネス界では、組織の中に必ず2:6:2の法則が生まれるといいます。
その法則とは、たとえば全社員を10とした場合、頭の2割にあたる社員は企業理念を十分に理解し、賛同し、トップに対する姿勢も誠実です。
仕事に対しては非常にモチベーションが高く、何事にも誠意をもって積極的に行動する人材です。
中間の6割にあたる社員は、組織の一員としての自覚をしっかりもっています。
仕事に対するモチベーションが非常に高いというわけではありませんが、指示された業務に対しては淡々とこなす人材です。
組織における大半の人材がこれにあたります。
では、後ろの2割の社員はどのような人材なのでしょうか?
格差こそありますが、仕事への意識やモチベーションは低く、何事にも非協力的な傾向にあります。
「ならばいっそうのこと、後ろの2割の人材を排除してしまえばいいじゃないの!」
そんな乱暴な言葉が聞こえてきそうですが、興味深いことに、たとえ後ろの2割にあたる人材を排除したところで、残された人材(頭の2割と中間の6割の人材)から、再び2:6:2の法則が形成されるというのです。
最終回は、この法則を念頭に、クリニックの組織づくりへのメッセージをお伝えしたいと思います。
(2) 頭の2割をチーフと位置づけよう
組織向上にあたって、この割合を元に、どの部分の人材にアプローチするかということで、方向性が変わってきます。
まずは、院内マッピングから、法則の頭の2割に該当するスタッフを模索してみましょう。
人との関係性の中で、時に、人は相手の心を動かし、行動を変えることがあります。
頭の2割にあたるスタッフをチーフとして位置づけることはとても有効です。
クリニックのスタッフ教育がうまくいくかどうかは、チーフがいかに院長先生の考え・理念・想いを理解・共有し、同じ方向性に歩んでいけるか、そして、同じ想いをもって、後輩スタッフに指導できるかが、大きく影響していきます。
チーフが中間に位置する6割のスタッフに良い影響を与えられたとき、このスタッフのモチベーションは確実に高まります。
それは、頭の2割と合わせて8割のスタッフの行動が強化さることを意味します。
不思議なことに、こうして成立した組織が定着していくと、後ろの非協力的な2割の人材も自然にそちらになびき、次第に意識が高まっていくことがあります。
人は置かれた環境の中で、何かに気づき、心が動いたとき、行動も変わっていきます。
何らかの外的な影響から、スタッフ自身に気づきが生じ、意識が変わったとき、共に歩んでいくことが期待できます。
人は人に感動を与え、人を動かしていく力をもっているのかもしれません。
チーフスタッフは、専門的知識・スキルをもった仕事のプロとしてのみならず、後輩スタッフを率いる心をもった人格が合わせて求められるでしょう。
そして、チーフスタッフもまた、院長先生から受ける何らかの響きによって、心が動かされ、人間力を高めていくことができるのです。
スタッフと共につくりあげるワンランクアップの組織づくり、それは他にはないオンリーワンのクリニックになっていく道筋です。
読者の皆様や医院がますます発展され、2011年という新しい年が、素晴らしい年でありますようお祈りいたします