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患者さんの言動から性格をつかむコツ【5】 こんな患者さんには、こんな対応を!≪Part5≫

2009年12月07日

患者さんの性格を見抜き、患者理解を深めた上で、その効果的な対応法をご紹介しましょう。

“こんな患者さんには、こんな対応を!”のPart5です。

 

★患者さんチェック! こんな患者さんいませんか?

1) ドクターショッピングを繰り返してきた患者さん!

治療への不安や不満を抱き、複数のクリニックを転々と受診してきた患者さん。

2) 症状への辛さを強く訴える患者さん!

過去の治療体験と、今も続く症状に対する辛さを、一生懸命伝えようとする患者さん。

3) 時折、涙ぐむ患者さん!

話をしていく中で、感情がこみ上げ、時折、涙ぐんでしまう患者さん。

4) 同じ内容を繰り返し話す患者さん!

会話の中で、同じ内容や事柄を何度も繰り返し話す患者さん。

5) 歯科治療説明にはあまり聴く耳を持たない患者さん!

ドクターの診査・診断から、他のクリニックでの治療方法が正しいとされたとき、その説明をしても納得されない患者さん。

 

★上記の内容の中で、3つ以上当てはまる患者さん!

そんな患者さんには次のような対応が効果的です。

●患者さんの心理を理解する!

患者さんは治療に納得がいかず、いろいろなクリニックを転々としてきました。

「この辛い気持ちを、なぜ、理解してもらえないのだろうか」「このまま辛い状態が続くのではないだろうか」「他には治療法がないと見捨てられてしまうのではないだろうか」……など、さまざまな心理が働き、そこには不安・苛立ち・悲しい気持ちが存在していることが考えられます。

また、時には自らの訴えが伝わらなかった・否定されてしまったという感覚をもった体験から、来院する前から「このクリニックでも、また理解してもらえないのではないだろうか……」といった不安を抱いている患者さんも少なくありません。

●このような患者さんとのコミュニケーションは、下記の流れに沿ってすすめていくことで、患者さんに変化をもたらします。

1.患者さんの辛い体験をねぎらう!

まずは、患者さんの話に耳を傾け、その思いをねぎらうことが大切です。

患者さんの話を否定することなく、こちらの意見を述べることなく、感情を移入することなく、まずは、患者さんの話を聴いてあげましょう。

そして、患者さんの体験に対して「それは辛かったですね」「よく頑張ってこられましたね」とねぎらいの言葉をかけてあげましょう。

2.重要ポイントをつかみ共感を!

患者さんをよく洞察していると、話をしていく中で、時折、感情がこみ上げている、涙ぐむ、同じ内容を繰り返し発言する……などの言動が見られます。

ここが、患者さんにとってもっとも重要なポイントとなります。

そこには、患者さんにとってもっとも伝えたいメッセージ、理解してもらいたい内容が存在しています。

そのポイントを押さえて、理解し・共感する姿勢を示してあげることで、患者さんは安心感を得ることができます。

3.患者さんが安心したとき、こちらの話を聴いてくれる!

このようなプロセスを経て、安心感をもった患者さんは、次第にこちらに信頼を寄せてくれます。

はじめて、こちらの話にも耳を傾けてくれるようになるのです。

こちらの意見や治療説明は、患者さんがこうした心理的安心を得られた状態を確認した上ですすめると効果的です。

とはいっても、相手の立場に立って話を聞くということは、私たちも感情を持つ生身の人間ですから、なかなか難しいものです。

時には、さまざまな感情や考えも沸き起こってくるときもあります。

その時は、自分のその感情に気づき、それをいったん横において、ニュートラルな気持ちで患者さんの話に耳を傾ける努力が必要です。

それによって、患者さんの世界を共有することができ、患者さんの気持ちに限りなく近づくことができます。

これが共感なのです。

 

*明日からの診療で、こんな患者さんがいらしたら、是非実践してみてください。