2009年08月03日
みなさんの診療室には、小さい患者さんはいらっしゃいますか?
私が勤務しているところは、ごく普通の住宅地にある診療室なので、お子さんが多くいらっしゃいます。
今回はそんな毎日の中から生まれた、いくつかの「工夫」をお伝えしていくことにします。
1.絵付きフロス
私は主に予防処置を行っているので、カリエス予防のPTCやカリエスチェック時にフロスは欠かせませんが、フロスを初めて使うお子さんに説明するのが大変でした。
見たこともない糸を口に近づけるので、嫌がる子も多かったのです。
そこで、フロスのパッケージに、お子さんに人気のキャラクターをパウチ加工して両面テープで貼ってみました。
「ミッキーちゃんとむし歯さがすよ」とか「アンパンマンにばい菌とってもらうよ」と説明すると、嫌がられることがなくなりました。
2.ご褒美シール
診療後に、ご褒美にシールなどの小さいプレゼントを渡すことは多くの診療室で行っていると思います。
なぜかお子さんはシールが大好きです。
いくつかのご褒美シールを集めると、さらに大きなご褒美がもらえるトークン
・エコノミー法は、行動変容法としても知られています。
私たちは、シールと一緒にシール用シートも配布しています。
もらったシールを家のあちこち貼って、叱られるのもかわいそうですし、初回にシートを一緒に選ぶことでコミュニケーションもとることができます。
シールは、担当した術者がその場で差し上げるようにすると、「ご褒美」の意味がさらに深まるようです。
3.歯磨きカレンダー
私は「歯磨きカレンダー」を、歯磨き習慣だけではなく、悪習癖を改善するトレーニングにも使っています。
たとえば「指しゃぶりを我慢する」「甘いお菓子は1日1回にする」「お口の体操(MFT)を毎日やる」などです。
「朝と夜の歯磨きで1枚ずつ、お約束が守れたらもう1枚」と約束し、1ヵ月続けます。
1ヵ月続いて悪習癖の改善が見られたら、保護者の方に知らせてもらい、表彰状を用意し、院長先生から渡してもらいます。
シールを貼る楽しさと、がんばっていることが形になることから、成功するケースが多くなります。
4.塗り絵
お母さんや兄弟の治療の付き添いで、お子さんがいらっしゃることもあります。
絵本やおもちゃも用意してありますが、意外に人気なのは塗り絵です。
お子さんに人気の塗り絵本をいくつか用意し、1枚塗りたい絵を決めてもらいコピーを取ります。
バインダーにはさみ、用意している色鉛筆やクレヨンを貸し出します。
かなり真剣に長い時間取り組んでくれるので助かります。
5.椅子
お子さんを待たせている場合、きちんと足裏が床に着くお子さん用の椅子を準備し、いくつかの「やること」(4の塗り絵など)を用意してあげると、歩き回ったりせず、着席したまま待ってもらえます。
お子さん用の小さい椅子は、デザインもかわいい物が多いですし、準備しておくととても便利に使えます。
治療を受けたり、待っていたりするお子さんたちに、こちらの指示をしっかり聞いてもらうためには、できるだけ具体的な指示を出すこと、終わりの時間を明確にすること、本人の要望も聞くことを私は心がけています。
少しの工夫できちんと指示がとおり、スムースな関係が築けると思っています。
次回は、ペットボトルを使った便利グッズを紹介したいと思います。