2010年08月17日
歯科衛生士の仕事のひとつに「院内感染対策」があります。
清潔・不潔の認識はできていますか?
学生時代、細菌学の最初の講義で「今日からみなさんは雑巾がけをするときも、一般の人と違うことを意識してください」といわれたことが、今になってよくわかってきました。
とはいっても、学生時代に実習で厳しく指導されたことも、次第に「わかっているけど、面倒で……」になっていませんか?
と、厳しい話になってしまいましたが、今回は、細菌学レベルの清潔・不潔対応ではなく、患者さんに快適空間を提供する「掃除」レベルの一工夫のご提案です。
≪水回りをきれいに保つ≫
・手指の消毒、器具の洗浄と、水回りは仕事をする上で常に使っています。
油断するとすぐに水垢がついてしまいます。
そこで、掃除用スポンジ・メラミンフォーム(商品名:激落ちくん)をシンク近辺、もしくはシンク内面に吸盤で貼り付けておきます。
そして、汚れていると思ったら、その場でさっと掃除しましょう。
手間がかからないと汚れもたまりません。
また、スポンジもメラミンフォームもカットして使い、こまめに取り替えてください。
・お酢スプレー:お酢を希釈(2~5倍)してスプレー容器に入れます。
汚れに気づいたら、シンク周りに噴霧し拭き取ります。お酢は酸性なので、水垢・石鹸カスなどのアルカリ性の汚れを中和する効果があるそうです。
また、雑菌の繁殖を防ぎ、消臭効果も期待できるとのことです。
もし、お酢のにおいが気になるようなら、においの少ない製品もあります。
これもシュッとするだけの簡単掃除なので、誰でも続けることができますね。
≪拭き掃除≫
消毒用アルコールをスプレー容器に入れます。
小さくカットした不織布を用意します。
ユニット、患者さん用スリッパ、ドアノブ、鏡、キャビネット、棚など、気になるところをこまめに掃除しましょう。
このアルコールスプレーに、アロマテラピーのレモン、ティトリー、ベルガモット、ペパーミントなどの精油を数滴たらすと、消臭効果などが期待できます。
≪グローブの使い方≫
朝からずっとグローブをしたまま、仕事をしていませんか?
もちろん、「取り換えています!」というのでしょうが、患者さんには伝わっているのでしょうか?
掃除のときもスケーリングのときも、見た目が同じグローブでは患者さんは不安になると思います。
私は、処置をする直前に患者さんの目の前でグローブをするように心がけています。
指導する、業務記録を書く、問診する、受付業務をするなど、清潔域での仕事では必ずグローブをはずします。
できれば、掃除のときは見た目に違いがわかる掃除用グローブを用意することをおすすめします。
院内感染対策はとても大変です。
でも基本は清潔を保つ、汚染を広げないことだと思います。
まず、掃除をきちんとすること、清潔不潔の意識をスタッフ全員でもつことが大切です。
「水回りの掃除からグローブの使い方? 関係ないよね?」と思われた方もおられると思いますが、お伝えしたかったことは「患者さんは見ています!」ということです。
それが診療室全体の評価につながっているのですよ。