2003年04月07日
昔は、人口構造をグラフ化すると、エジプトの「ピラミッド」のような形であったことから、人口ピラミッドという言葉をよく使うようになったようです。
実際1950年の人口構造をグラフ化してみると図1のようになります。
図1
グラフの左は女性、右は男性の人口を表します。人口ピラミッドの底辺の赤い部分は幼年人口といい0から14歳、緑の部分は生産者人口で15~64歳、黄色の部分は高齢者人口で64歳以上を表します。
グラフの上端は100歳以上の人口です。1950年の人口構造は、とてもきれいな安定したピラミッドの形をしています。
さて、これらがどのように変化してゆくか見てみましょう。
図2
は、2000年の人口構造です。もはや人口ピラミッドとは言えなくなってきました。
私はよく講演会などで、「これは人口ピラミッドではなく、蓋付きの人口壺だ!」と、言っています。
このグラフの上端の蓋の部分は、100歳以上の人口です。
2050年には男性は39万人、女性は480万人の百寿者がいると、予測されています。
このときの総人口は、1億500万人という予測ですから、実に20人に一人は百寿者という計算になります。今は、カマトばあちゃんのように、百寿者がテレビで話題になったりしていますが、この頃になると、百寿者は全く珍しくなく、逆に赤ちゃんがとても珍しくなる時代となるのでしょう。
さて、この蓋付きの人口壺を眺めていると、色々なことを思いつきます。人口構造はいわば需要の構造と考えられます。
例えば、紙オムツを考えると、子供用の紙オムツはだんだんと売れなくなり、高齢者用の紙オムツが売れるということになります。
また、子供の服を売っている会社は、これから買ってくれる子供が少なくなってゆくのですから色々な戦略を考えていかなくてはならないでしょう。
小学校や中学校も子供が少なくなり、どんどんと統合されてゆくでしょう。
実際、うちの子供の通う札幌市の中央区にある小学校も廃校になり、来年3つの小学校が統合されて一つになります。
大学も当然定員が削減され、それに応じて教職員も削減されていくでしょう。
医療を必要とする人も高齢者が主体となってきますから、高齢者医学というのがこれからどんどんと進歩してゆくでしょう。
また、こんなに高齢者がどんどん増えてゆくなら、高速道路を造るよりも、駅や公共施設などの階段を全部エスカレーターにした方がずっといいと思うのですが、法案を考えている人たちは黒塗りの車しか乗らないから思いつかないのでしょうか?
僕たちが高齢者になったときに、住みよい日本であってもらいたいものです。