2003年04月21日
前回は、人口構造の変化をグラフ化して、高齢社会というものを実感していただこうと思いました。
今回は50年後の蓋付きの人工壺のような人口構造を眺めながら、50年後の歯科医療界はどのようなっているかを想像したいと思います。
【1】一番人口の多い年齢は男性が76歳、女性は77歳です。
一般の歯科医院の来院する患者さんは、ほぼこの人口構造と比例すると考えることができるかもしれません。
また、予防という考え方や薬剤、技術等の広まりにより、
一般の歯科医院では若年層の予防処置と50歳以降の治療が中心となっていると思います。
もしかしたら治療対象者は半数以上が65歳以上の高齢者となっているかもしれません。
オフィスの構造もバリアフリー、手摺り等があたりまえとなるでしょう。
【2】平成10年の国民生活基礎調査(当時厚生省)をみますと、「健康上の問題で日常生活に影響のある者の割合」というのは、
65~74歳で20.8%、75~84歳で32.5%、85歳以上で46.2%となっています。
逆に考えれば、日常生活に影響のあるような、健康上の問題をもつ高齢者を診療することが多くなると考えられます。
さらに、外来受診ができない患者さんも、増加することになると思います。
つまり往診によるケア(Care)とキュア(Cure)が求められているでしょう。
【3】患者さんが高齢層にシフトしてくるということは、必然的に義歯治療が多くなってくると思われます。
今後、義歯材料や技術の進歩が求められるのは、時代の要求と考えられます。
口腔と一体化するメンテナンスフリーの義歯ですとか、自動口腔ケア装置なんていうのはできないでしょうか?!
【4】子供の人口が激減することを考えると、小児歯科は事業形態が変化してゆくでしょう。
また矯正治療も成人矯正が多くなってゆくものと考えられます。
人口構造の話からはずれてしまいますが、国民健康保険制度の存在やそのありかたが大きく変わっていることも予想できます。
今は、この人口構造の変化に加え、治療から予防への転換、情報社会における患者さんのデンタルIQの向上、社会制度の変革など色々なことが混沌としていると思います。
歯科界に限ることではありませんが、すべてが大きな変化の真っ最中と言えるのかもしれません。
50年後はどのような社会なのでしょうか?