2014年02月27日
(1)よい人材を育てることがよい組織をつくる
一般的に、歯科治療に集中する必要のある歯科医師や歯科衛生士は、組織という考え方が欠如している傾向があるようです。
これが、歯科医院のマネジメントの失敗に大きく関わってしまいます。
ある飲食チェーンでは、高校生のアルバイト採用が決定すると、まず「社会化」と「組織化」について教育することから取り組むそうです。
そうすることで、学生気分を排除して、早期に戦力化するのです。
この「社会化」と「組織化」に取り組む上でカギになるのが、人材育成です。
戦国時代の武将・武田信玄は、他国が頑強な城を築いて戦う中で、城を持たずに戦ったといいます。
武田信玄は、勝敗を決めるのは、城の大きさや頑丈さ、豪華さではなく、人の力の集結だと考えていました。
信玄は、武士の個々の能力や特長を十分に発揮できるような組織をつくることの重要性に気づき、 人づくりに重点をおいたのです。
目の前の業務に惑わされることなく、長期的視野にもとづいた人材育成を行うことは、自ずと歯科医院の長期的繁栄につながり、強い組織をつくるための第一歩となります。
私がコンサルティングで、歯科医院へうかがうと、
・スタッフに対して的確な評価ができない
・成長を一緒に喜ぶことができない
・スタッフの失敗を自分のことのように悔しがったりできない
という院長やスタッフリーダーが増えています。これではスタッフは育ちません。
起こったことに場当たり的な対応をするのではなく、長期的観点にたって、よい人材を育てることが組織の発展には欠かせません。
歯科医院は、人材ビジネスであり、よい人材が育つからこそ、治療品質、サービス品質、安全・安心・清潔の品質が高いレベルで保たれ、患者さんから支持されるということを、改めて確認する必要があります。
(2)QSCの徹底で人材育成をはかる
1)歯科スタッフに求められる資質
・医院の目標達成への高い意欲を持っている
・院長のことを尊敬している
・主体的に行動できる
・医院に愛着を持っている
・感謝の気持ちを持っている
・仕事にプライドを持っている
・他人の気持ちを察することができる
このような資質を持つスタッフを育成するためにも、人材教育は長期的視野に立ち、計画し、実行に移すことが必要になります。しかし、そのような暇も費用もないという方は、まずは、QSC(Qはクオリティ、Sはサービス、Cはクレンリネス)の現状レベルを把握し、現状のレベルに合わせて医院全体で取り組んでください。
何をすれば良いかわからないという方は、まずは掃除を徹底して行うこと。
できている歯科医院は案外少ないものです。
ですから、新人が入ってきたら「クレンリネス」を徹底して教えること。
このコツコツと小さな積み重ねが、強い歯科医院をつくるスタートになるのです。
2)Q(クオリティ):治療、オペレーション品質の向上
歯科医院のオペレーションを高めていくには、マニュアルなどを活用して標準化するとともに、効率的・効果的に仕事をすすめるためのリーダーの指示とメンバーの指示への理解力が欠かせません。
それに加えて、リーダーが患者さんやスタッフのすべてに目を配って、その時々でもっともやらなければならないことを指示するだけでなく、個々のメンバーが優先順位を考えながら仕事に取り組める体制を整えることが不可欠です。
リーダーの指示出し以上に主体的に動く組織づくりこそが、最適なオペレーションを実現することが長期発展につながります。
3)S(サービス):サービス品質の向上
歯科医院に対する患者さんの治療・サービスへの期待度は、大きいとはいえません。
過去の歯科経験から、多くを求めなくなっている面が大きいのでしょう。
しかし、それに甘んじていると、歯科医院の発展はありません。
いつも“多くの歯科医院の中から選んでいただいた”という感謝の気持ちをもって、来院された患者さんの期待を超えることが発展のカギといえるでしょう。
サービス品質に関しては、歯科知識の不足している新人スタッフでも対応可能な領域です。
妥協を許さず、厳しい目で指導することが院長やチーフスタッフの役割でもあります。
C(クレンリネス):クレンリネスの徹底
クレンリネスとは「清潔さ」を表しています。
気持ちよく医院を利用してもらうためにも、基本的な「クレンリネス」はとても重要です。
見えるところだけ掃除するのではなく、患者さんに見えない部分もきれいにすると、スタッフの意識が変わり、それが歯科医院活性化の土台にもなります。
中でもトイレの清潔は、患者さんへの好印象にもつながります。
いくら接客や治療が良くても、トイレや床にごみが落ちていたり、受付で販売している商品に埃がたまっていると、患者さんの満足度は高くなりません。
クレンリネスにも妥協は禁物です。
株式会社デンタル・マーケティング
代表取締役
寳谷 光教
⇒ http://www.dental-m.co.jp