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伸びる歯科医院・伸びない歯科医院 ここが違う【5】伸びる歯科医院は差別的優位性を発揮している

2014年03月13日

今では、自院の隣に別の歯科医院があったり、同じビルの中に複数の歯科医院が入居していることも珍しくない歯科業界の中で、「歯医者なんてどこも同じ」と思われないように、他の歯科医院との違いを明確に表現することが重要になってきています。

治療の腕を磨くことだけに力を注いでいるあなたは、もしかしたら経営面で、大きな損失を被っているといえるかもしれません。

スタッフの優秀性、滅菌・消毒への取り組み、カウンセリング力など、どんなに小さいことでもよいので、他の歯科医院との違いを表現することが重要です。
地道にコツコツと積み上げた小さな違いが、大きな違いをもたらします。

差別化を検討する際の観点として、患者満足の観点、従業員満足の観点、歯科医院全体の仕組みの3つの切り口で考えてみてください。
成長している歯科医院は、この部分を積極的に強化して、差別的優位性を発揮しています。

(1) 患者満足の観点から差別化を考える

★ポイント1:治療の出来・不出来以上に患者様満足を追求する

歯の状態によって削ったり抜いたりすることが必要であることは患者さん側も理解しているのですが、口の中をちょっと見ただけで「この歯は、削りましょうね」「もう抜くしかありません」と、説明もしないで治療方針を決定してしまうと、患者さんの満足度は高くなりません。

このようなタイプは、自分自身の腕次第で、歯科医院経営がよくなると考えている場合が多いようです。
治療技術は必要条件ですが、十分条件ではありません。

どのような治療が必要なのかを、患者さんにきちんと説明することは必要不可欠です。
治療方針について説明もなしで治療に入る歯科医院を信用するはずがありません。

患者さんと信頼関係を築くには、相互理解のためのコミュニケーションの時間が必要です。
ですから、カウンセリングをしっかり行うことは、優位性の1つになりえるのです。
患者様の期待レベルが変化するに従って、満足のレベルから感動を提供するレベルが求められるようになってきます。

そのためには、患者さん1人ひとりの満足するポイントや感動の期待水準を歯科医院側が知る必要があります。
カウセリングや患者さんとの会話で、どれだけその人のことをわかっているのか、どれだけ心が通じあっているかが感動を創りだす一歩となります。
1人ひとりの期待水準を超えたお声掛け、行動ができるからこそ、顧客感動が生まれるのです。

(2) 従業員満足の観点から差別化を考える

★ポイント2:もっとも近い顧客は従業員であることを認識する

歯科衛生士や受付などスタッフの入れ替わりが頻繁にある歯科医院は、スタッフを大事にするための仕組みが不足している場合が多いようです。

一緒に働くスタッフを大事にしていない歯科医院で、患者さんに満足や感動を提供できるはずはありません。
スタッフがイキイキと働いている医院だからできるのです。

従業員のモチベーションに関しての理論で有名なのが、アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグの「動機付け・衛生理論」です。

◆動機付け要因:「仕事をする上で、どんなことに幸福感を抱き、また満足感を感じたか」
・仕事の達成感、責任範囲の拡大、能力向上や自己成長
◆衛生要因:「仕事する上で、どんなことに不幸であると感じ、不満感を抱いたか」
・医院の方針、管理方法、労働環境、勤務条件

給与や賞与、休暇制度の充実という衛生面の改善では不満は改善されまずが、共通目標に対して院長とともに取り組む貢献意欲や、自己の成長への意欲は高まっていきません。

人は、外部環境や与えられたものに反応するという外因的要素以上に、内因的要素によって動機づけされます。
ですから、人は誰かのために役に立っているという、自己重要感が満たされると、もっと認められたいと自発的にイキイキと働くようになるものです。

(3) 仕組みの観点から差別化を考える

★ポイント3:“現状の悪い部分を改善して終わり”という場当たり的な発想ではダメ

一国一城の主である以上、組織の目的を明確にし、その達成のためにその歯科医院が存在するということを、まずは自分自身が覚悟をすること。
組織そのものは、その目的達成のための集団であるという認識を、スタッフと共有化する必要があります。
その場が楽しければよいという考えでは、良いサービスは提供できません。

小さなことにとらわれず、大きな理念・目的のために医院経営に取り組むことが肝要です。
その理念が定まれば、医院の指針ができますから、その指針にそって達成のための計画に落とし込むことができます。

計画ができれば、院長1人では達成できないことを、スタッフ個々へ役割分担することになります。
役割があれば、1人ひとりの取り組むべきことが明確になり、その役割の進捗がどういった状況なのか、毎月、毎週、毎日のタイミングで、スタッフと話し合うことが必要になってきます。

このようなマネジメントサイクルをつくることで、医院内のコミュニケーションが活性化し、スタッフの成長や仕事への情熱につながっていくのです。

増患の仕組みや自費率アップの仕組みなど、さまざまな仕組みがありますが、その土台である組織(根っこの部分)の醸成に力を注ぐのも、伸びている歯科医院の特徴です。

スタッフに対してのアプローチの変化や仕組みの構築が、患者満足・感動というかたちで院長自身に返ってきます。

 株式会社デンタル・マーケティング
 代表取締役
  寳谷 光教
 ⇒ http://www.dental-m.co.jp