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患者に優しい新裏装材マックスフィットを勧める

2004年01月05日

●新裏装材マックスフィットの特徴とは何か

高齢者の増加にともなって、良く噛める義歯への要望がますます高まっている。有床義歯を必要とする患者数は、2千万人程度にまで膨らんできているとされている。

この膨大な需要に対して、患者側に満足してもらえる適合性のよい有床義歯を提供することは、歯科医療者側の大きな責任であるといえる。

有床義歯の使用者が、経年的に不適合になった義歯床を比較的短時間に改善する方法として、以前から口腔内で直接に裏装する方法(リベース)が実施されてきた。

これに対応する新製品として、今回クラレメディカル社から画期的な新裏装材マックスフィットが新発売されたので紹介したい。

この新裏装材は、フッ素系モノマーを採用した点に特徴があり、耐汚染性、低刺激性に優れたリベースが可能になった。

また、臨床での操作性がよく、上手に使いこなせば患者への負荷が極めて少なく、快適な状態に治療できるようになった。

その意味で、患者に優しい裏装材の登場ということになる。
 
 
これまで市販されていた裏装材、リベース材は、モノマーによる口腔粘膜への刺激性があり、患者に不快感や苦痛を与えてきた。

しかしこれからの新製品は、患者に不快感や刺激を与えるものは敬遠しなければならない。これが、新時代の世界的な動向トレンドである。
 
 
 
●患者に優しい治療材料の創製をめざす

フッ素樹脂の代表はテフロンであるが、最近の研究ではますます用途が拡がり、化学的に安定で、長期的に安全な素材として活用されている。

例えば、フッ素系の屋外塗料には、10年以上の耐候性のある安定な製品が実現されている。

さらにフッ素系のモノマーで注目されるのは、フルオロアルキル基を有するフッ素系の化合物である。超撥水・溌油性があり、これを塗布した布や紙は、水や油で汚れなくなる。
 
東京医科歯科大学大学院の早川巖教授らが、市販のリベース材各種とクラレメディカル社の試作品を比較テストされた結果では、これの試作品は吸水量が少なく、被着色性(汚染性)や被着臭性の少ないことが明らかにされている。

この結果は、フッ素系のモノマーの導入による効果であると考えられる。(補綴学会誌46.108回特別号2002)
 
 
これからの歯科材料の研究目標は、患者(受診者)に対して、嫌な刺激臭や苦痛を与えない材料でなければならない。

その意味でマックスフィットの登場は、患者に優しい新製品の創製の先駆けであり、新動向に副ったものであるといえる。

これらの真価が臨床家に認識され、広く普及するようになることを勧める次第である。使用法は「デンタルマガジン」110号を参照されたい。