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歯科金属アレルギーの治療に新式の“DMAメーター”が役立つ

2003年02月17日

※この原稿は、2003年 2/21付・友の会「Fax Box」の「総歯研・増原レポート」にも掲載いたします。
 
 
近年、装身具、ピアスなどによる金属アレルギーの患者が増加しており、人々の関心が高まっている。とくに歯科外来では、患者側から歯科金属によるアレルギーに対する疑念が提起される例が増えており、この疑念に対して科学的なデータを示して安心してもらえるようにする必要がある。

最近、ブダペストのSZEGED大学のDr.A.RauscherとドイツのAachen大学のGutknecht教授らにより、金属の溶出傾向を測定する装置“DMAメーター”が開発され、モリタが輸入することになった。

この“DMAメーター”は、間口11.7cm、奥行9.5cm、高さ11.5cmの大きさのケースに、2個のスキャン電極が付いており、これを口腔内で金属修復物と口腔粘膜にそれぞれを接触させて測定する機構になっている。

この装置には、日本特有の金銀パラジュウム合金も含めた18種類の歯科用金属に至るまでの基本データが収められており、測定に要する時間は数秒、測定結果は「安定」「準安定」「活性」の3段階に表示されており、操作が簡単で使い易くなっている。このデータは口腔内で溶出している金属イオンの状況を示している。

この“DMAメーター”は、愛知学院大学歯学部の服部正巳助教授が、2002年から臨床で使用されているが、パッチテストの成績、金属組成分析のデータ、この“DMAメーター”の測定値などを総合的に判断して治療すれば、有用な測定装置であるとの報告が出ている。

これまで口腔内金属によるアレルギー病変として、口内炎や扁平苔癬などが数多く報告されているが、この治療法はアレルゲンとなる金属の特定が難しく、口腔内にある金属修復物を全部撤去して治療する方法が多用されてきた。

この方法は代替材料(セラミックス、コンポジットレジン、チタン合金)を用いて再修復して経過を見る方法であった。

しかし、実際の臨床ではゴールドクラウンから金銀パラジュウム合金、アマルガムなど、種々の金属が使用されている例が多く、全部を撤去して再治療することは容易ではない。その場合に、口腔内においてアレルゲンになっている修復物が特定できれば非常に有効であるが、パッチテストと“DMAメーター”を併用すればそれに役立つ診断ができるようになるので有効である。

パッチテストを併用するには、予め患者にアレルギー体験の有無を問診し、必要に応じてパッチテストを行なう。パッチテストは皮膚科外来で金属アレルゲンの特定のために実施されているが、最近は歯科外来でも副作用の少ない検査法として利用されている。検査方法は患者さんの背中に検査用の絆創膏を貼布し、2日後、3日後、最長7日後の感作の状況を判断する。

検査用試薬は、液状タイプの場合は1滴、ワセリンタイプの場合は、米粒大をパッチテスト用絆創膏のリント布に塗布して用いる。

鳥居薬品製品が歯科用金属に対応する金属元素が揃えてあり信頼できる。

口腔内の金属アレルギーの問題はこれからも増加する可能性があり、モリタグループでもこれに関連する製品を取り揃えることが必要になると思われる。

Dental Magazine No.107号に、服部正巳先生の詳細な説明があるので、是非参考にしていただきたい。