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政治改革の新しい風が、歯科界にも吹く気配あり

2001年06月04日

政治改革を目指して小泉内閣が誕生した。

閉塞していた日本の政界に新しい風を吹き込み、日本の再生を目指す小泉首相の強い心意気が全国民に好感され、80%という高い支持率を得ている。

これに対応するかのように、わが歯科界にも新しい改革、見直しを促す新しい風の兆しが出てきているので紹介したい。

 
朝日新聞と日本歯科新聞が報道(4月10日号)した、民主党の歯科医療改革案が注目される。

この歯科診療を考えるワークショップの座長は、桜井充参議院議員(東京医科歯科大学医学部卒、仙台在住)である。

 
–1.歯科重視の医療体制の確立————–

(1)金銀パラジウム合金の高騰に対する措置では、緊急に逆ザヤが解消されるような保険点数に改正する。

(2)医科、歯科の診療報酬上の格差を是正。

(3)咀嚼、嚥下障害の診断書作成権限の付与(身体障害者福祉法第15条の改正)に触れている。

(4)医科、歯科の相互理解と連携の重要性を指摘。

(5)歯科と全身疾患の関係の重視。

(4)と(5)の問題については、既にモリタ発行のデンタルマガジン101号のTALKでも東京医科歯科大学医歯学大学院の構想について、江藤一洋歯学部長と虎の門病院歯科部長の山田敏元先生が語っておられる。

これからの歯科医療が医療と連携して、全人的歯科医療を実施する方向(トレンド)にあることが示してある。

 
 
–2.治療歯科から予防歯科への転換 ————-

(1)80-20運動よりも、わかり易い目標である10-00(イチマルゼロゼロ)運動を提唱している。
        しかし少子高齢化へ向かう日本にとっては、12歳で第1、第2臼歯が揃うことを考えれば12-00(イチニ ゼロゼロ)をスローガンにした方が
        より適切であると云える。これを実効あるものにするには、学校教育での口腔意識の向上を図ると共に、
        学区内歯科診療所と歯科衛生士との連携により歯科保健指導の実施体制を整備すべきであると提案している。

(2)予防重視の診療報酬体系への抜本的改革を目指して、「検査、診断、経過観察」の行為が十分に評価できるような診療報酬を設置する。

(3)介護現場における予防歯科、歯科医療の充実を図る。

(4)フッ化物利用の推進、フッ化物の効能はFDIでも認められており、経済的メリットも大きい。
        わが国ではフッ素徐放性シーラントの活用などを進めたい。

 
–3.患者が安心できる環境づくり ——–

(1)インフォームド・コンセントの徹底

(2)歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士の相互連携によるチーム医療を確立するために、歯科技工士、歯科衛生士の賃金を改善し、
        歯科技工料を歯科診療報酬点数表に明記することを提案している。

(3)より質の高い歯科診療に向上するため歯科技工士、歯科衛生士の修業年限を3年以上に改める。

(4)院内感染対策を充実するための保険点数評価を認める措置を講じていく。

 
今後の歯科医療情報システムのインフラ整備もとりあげている。これに関連する東京歯科コンピュータショー(会長森田晴夫)が開催され、約2,000人の来場者があり関心の高さを示した。

歯科医療にもいろいろなデジタル製品が活用される時代になってきた。
院内LANシステムによる患者へのインフォームド・コンセントの充実なども不可欠になる。

 
歯科界にもいよいよ新しい風が吹く気配があり、皆でこれを盛り上げていきたい。