2011年07月04日
この連載では、歯科医院専門の数字の専門家から、ぜひ知ってもらいたい「歯科医院にお金を残すノウハウ」を6回にわたって、紹介させていただきたいと思います。
1 歯科医院は絶対にお金が残るビジネスモデル
【それなのに、お金が残らない医院が多い】
「先生は、もっとお金を残したいですか?」
おそらくこの質問に対して、ほとんどの先生が「YES」と答えるでしょう。
しかし、実際には多くの歯科医院がうまくお金を残すことができずに、非常に苦労しているのが現状です。
私も仕事柄、このような相談を非常にたくさん受けます。
しかし、私は「歯科医院はやり方さえ間違わなければ、絶対にお金が残るビジネスモデルだ」と思っています。
私がそのように言い切れる一番の理由は、粗利率の高さです。
(「あらりりつ」と読みます)
歯科医院の粗利率は非常に高く、平均すると約80%もあります。
この業界にいると、それが普通に思いますが、実はこんなに粗利率の高い業種はほとんどありません。
粗利率というのは、売上に占める粗利の割合のことをいいます。
粗利というのは、売上高から変動費を引いた利益のことです。
わかりやすく、これを具体的に数字で見てみましょう。
まず歯科医院の売上は、保険の売上と自費の売上に分かれます。
たとえば、医院の売上が保険で30万点、自費で100万円ならば、売上は300万円+100万円=400万円になります。
そして、ここから「変動費」がマイナスされます。
変動費とは、売上が上ればそれに伴って上る経費のこと。
歯科医院の場合には「材料代」と「技工代」がこれに該当します。
売上高に占めるこの変動費の割合のことを「変動費率」といいます。
この変動費率は、歯科医院の場合、約20%前後になります。
売上高からこの変動費を差し引いたものが「粗利」になります。
売上高が400万円で、変動費が80万円だった場合、粗利は400-80=320万円となります。
さらに、この粗利が売上高に占める割合のことを「粗利率」と呼びます。
この場合の粗利率は、320万円÷400万円=80%となります。
これを数式に直すと、次のようになります。
★売上高 = 保険売上 + 自費売上
★変動費 = 材料代 + 技工代
★変動費率 = 変動費 ÷ 売上高(平均的な変動費率20%)
★粗利(売上原価) = 売上高 - 変動費
★粗利率 = 粗利 ÷ 売上高(平均的な粗利率80%)
【粗利率が高い業種はお金が残る】
この粗利率ですが、飲食店などは粗利率60%、小売業は粗利率30%、卸売業に限っていえば粗利率20%ぐらいが平均といわれます。
このような数字は、たとえば中小企業庁のホームページなどで確認できます。↓
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/
(ここでは粗利率と呼ばずに「売上高総利益率」という言葉を使っています)
つまり、歯科医院は非常に利益率の高い効率のよいビジネスといえるのです。
粗利率の低い業種は、うまく経営を行わないとお金が残りません。
なぜなら、いくら売利上げても、そのほとんどが変動費に消えてしまうからです。
しかし、歯科医院は粗利率が高いので、売上が上がればそれにつれて利益が残り、お金も残るはずなのです。
現に、私のクライアントさんの多くが、毎年増収を達成しており、お金が残る歯科医院を構築しています。
「働いても働いても、お金が残らない」と考えている先生は、実は絶対どこかに問題があるのです。
では、お金が残らない場合には、どのようなことをすればお金が残るようになるのでしょうか?
私は、歯科医院にお金を残すには、次のような5つのステップがあると考えています。
1:キャッシュフロー経営を理解する
2:モデリング
3:マーケティングで新患を増やす
4:節税
5:仕組み化
次回より、この5つのステップを1つずつ見ていくことにします。