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歯科医院にお金を残すノウハウ【5】節税対策 ~3つのタイプの節税方法とは~

2011年09月05日

この連載では、歯科医院専門の数字の専門家から、ぜひ知っておいてもらいたい歯科医院にお金を残すノウハウを、6回にわたってご紹介しています。
今回は節税です。

<歯科医院の節税には3つのタイプ(型)がある>

第1回目のメルマガでお話しした歯科医院にお金を残す5つのステップ
ステップ1:キャッシュフロー経営を理解する
ステップ2:モデリング
ステップ3:マーケティングで新患を増やす
ステップ4:節税
ステップ5:仕組み化
のステップ4の「節税」についてお話ししていきます。

マーケティングで新患が増えてくれば、通常はそれにともなって、利益も増えていくことになります。
そこで一番苦労するのが「税金」です。
個人の所得税の場合には、利益が増えれば増えるほど、税率も上がる仕組みになっており、最高税率は約50%となります。
利益が出てくるとキャッシュを残すために、節税は避けて通れない道となります。
この節税には「課税繰り延べ型」「経費先払い型」「会計事務所型」の3つのタイプがあると考えています。

<「課税繰り延べ型」の節税とは>

「課税繰り延べ型」の節税とは、今、支払うべき税金を将来に先送りにするタイプの節税です。
たとえば「小規模企業共済」や「国民年金基金」などがこれに該当します。
現在支払ったものは、全額経費(所得控除)となりますが、最終的にはこれらのお金は「退職金」や「年金」として手元に戻ってきます。
支払ったときに経費にしていますので、手元に戻ってきたときには、これらは所得として所得税の課税の対象となります。

ところが、たとえば、「退職金」や「年金」については、所得税法上、通常の歯科医院の利益である「事業所得」よりも税負担が優遇されていますので、トータルでのキャッシュメリットは非常に高いものがあります。
また、これらは、個人事業主の弱い部分「老後」をカバーするものとなり、ライフプラン上も非常に有利に働くことが多いのです。
加入されていない先生は、ぜひ検討してみるとよいでしょう。

<「経費先払い型」の節税とは>

次のタイプの節税は「経費先払い型」です。
これは、来期以降必要となるような経費を先に支払っておくものです。
たとえば、「パソコン」であったり、「チェア」であったり。
ここでは2つの留意点があります。

1つは、10万円(現在は一定の要件のもと30万円)以上のモノは「減価償却資産」となるため、1年で全額経費にすることはできないこと。
もう1つは、材料などの「棚卸資産」は、どうせ翌年に使うものだからといって大量購入しても、年末に棚卸しなければならず、在庫として残っているものは経費から除外しなければいけないこと。
また、1年分の家賃の一括前払なんてことも可能です(来年以降も継続して同じ処理が必要)。
ただし、結局税金を今年支払うのか、来年支払うのかの違いだけですので、一生涯で見たらそれほど大きな節税メリットは期待できません。

でも、できるだけ今期の納税額を少なくしたいという場合には、おすすめの節税タイプです。
この「経費先払い型」の節税をする際のポイントは「いったいどんな物にお金を使っていけばよいのか?」ということになります。
もちろん、経費を使えば税金は少なくなりますが、それ以上のキャッシュが出ていってしまいます。
節税のためだけにモノを買うのではなく、将来にわたって利益を産むもの、もしくは効率化をはかれるものに投資を行ってください。

<「会計事務所型」の節税とは>

3つ目の節税のタイプは「会計事務所型」です。
(私が名付けているだけですので、ネットで調べても出てきません)

これはどういうものかというと、会計事務所の帳簿の付け方で節税ができるタイプのものです。
たとえば「貸倒引当金の設定」や「措置法による概算経費」などです。
これらは、先生方でできるものではなく、会計事務所サイドで行うものですので、対策としては「これらの歯科医院の節税を熟知している税理士さんと付き合うこと」くらいになってくると思います。

<最終的には医療法人化を>

節税にはいろいろな方法がありますが、個人の所得税の場合、ウルトラCのような節税ははっきりいってありません。
もし、売上が上がってきてどうしても節税が難しい場合には、最終的には医療法人化を検討することになります。
医療法人にすることで、院長個人に給与を支払うことができ、その給与が経費になることで、所得の分散による節税が可能となります。
この点については、次回のステップ5「仕組み化」と合わせてお話ししていきたいと思います。