2002年08月19日
前回は、目標設定についてお伝え致しました。今回は、クレーム対応についてお伝えします。
実際には起こってはならないクレームですが、人間相手のお仕事では、全くなしにするのはほとんど困難なことです。
というのは、人間は生身のものであって、その感情、その方の心理的状態、体調など、何をとってもばらばらで画一的ではないからです。その上、対応する側の我々もまた、生身の人間であり、その対応者の体調・心理的状態も様々だからです。
ですが、それがゆえに我々は常によりよいサービスの提供を追求できるのでしょう。
さて、ここで1つのクレームの状況を設定してみましょう。
よくあるケースで考えてみます。
「予約時間どおりに来院しているのに、待ち時間が長い!」というクレーム対応について、いくつかのパターンを挙げてみます。
先に申し上げましたとおり、同じクレームでも、患者さんのタイプによって、その対応は変化しなければなりません。同じ対応で切り抜けられるなんて、到底考えられません。
同じ、待ち時間に対するクレームでも・・・・、
(1)大声で、他の患者さんに聞こえよがしに、高圧的に怒鳴る患者さんだったら・・・・。
答:この患者さんは、先生の診療所への期待度がかなり高いと考えられます。歯科医院たるもの、この医院だからこそ、この医院のスタッフであるからには・・・・、という特別な思い入れがあるからこそ、厳しくクレームを言われているのでしょう。
「恫喝!」この表現がぴったりくるようなお怒りの場合は、怒りのエネルギーが落ち着くまで、一切、説明・いいわけをしてはなりません。
ただ、ひたすら、この患者さんの期待度が高いがゆえのお怒りと理解し、患者さんの言い分を伺います。低姿勢で「申し訳ございません」の一言をいいながら。
とにかく、傾聴です。途中で、状況説明等は絶対にしてはなりません。最後まで、言い分を傾聴してください。
最後の怒りの言葉が終わってから、本当にお待たせしたご迷惑を、再度丁寧に謝罪し、遅くなった理由を、お願いの上、ご理解頂きます。
(2)とても、紳士的に待ち時間のことをいわれる冷静な患者さんには、どのような応対が適切でしょうか?
答:このような、冷静で事実確認をされる患者さんへは、冷静で確かなことを伝えて理解を頂きます。
もちろん、長時間の待ち時間をお詫びしますが、なぜ、大幅に予約時間が遅れたか?緊急の患者さんを優先したのか?予約の取り方が甘かったのか?前の患者さんが遅れて来院されたのか?
真実の理由と、今から、どれくらいのお時間をさらにお待ち頂かなくてはならないのかを、治療者である先生に確認し、おおよその時間を伝えお待ち頂くのが可能かどうかを尋ねて、ご理解をいただきます。
(3)クレームとは言えないかも知れないが、やたらと診察室内をうろうろ歩かれたり、受付内を覗き込まれたりしている患者さんの場合。
答:おそらく、気が優しくて、クレーム的なことは言えない方なのでしょう。その優しいお気持ちを察して、スタッフの方から声をかけさせます。
「お待ち頂けますか?次の予定が迫っておられますか?」と。
クレームになる前に、察してお声をかけるのも、必要な応対方法だと思います。
同じ、待ち時間に対する不満への応対でも、その患者さんの怒り・不満の出し方により、こちらも応対も変化させなくてはなりません。
私たちが、ひとくくりで同じ対応をされると、その扱い方でますます気分を害するのと同じです。
患者さんの様子に合わせて、応対方法を変える。当たり前ですが、難しいことですね。