2002年07月01日
今回は、「言葉使づかい」についての指導場面を取り上げてみることにいたします。
特に、「言葉づかい編」の中で気になるのが、電話応対ではないでしょうか?
私自身、新入社員や新入職員研修などで、とても気になることに、「最近の若い層は話す言葉に表情がない」ということですが、先生方は気になりませんでしょうか?
何というか、マニュアルどおりというか、ありきたりの言い方であるというか、こちらの感情を汲んでもらえないというか・・・・。
さて、実際に次のようなシーンに先生が出会いました。では、先生方はどのように指導されますか?
今の時刻は、診療の終了時間を少し過ぎた頃、患者さんからの電話。
患者さん:「診療時間が過ぎて申しわけないですが、痛みがあるので、診てもらいたいんですが。」
スタッフ:「そうですか・・・。でも、もう診療時間が終わってしまいましたので、明日の朝一番にもう一度お電話いただけますか?」
こんなやり取りを聞かれたら、先生はどうされますか?
院長:「こら!何を断っているんだ!すぐ、来て頂きなさい!」と、一喝されますか?
さて、文章で表現したやり取りですから、限界がありますが、一体、いくつの問題ポイントがあるでしょう?
私としては、
(1)診療時間が少し過ぎた患者さんへの対応について、きちんと医院としての方向性がスタッフまで伝わっているか?
(2)電話応対での患者さんの思いを受け取ることが、どこまで徹底されているか?
(3)医療とサービス業との区別が、どこまでスタッフと共有できているか?
の3点を挙げさせて頂きます。
「なぜ、診察時間を少し過ぎたくらいで、断るんだ!」とご指導されるまえに、なぜ、このような対応が生じたのかをお考えいただきたいのです。
最近、全国各地で増えているスターバックスコーヒーに行かれたことがありますか?
入店すると大きな声の「いらっしゃいませ。」と笑顔。それも、マニュアルどおりではなく個性の光る応対。この応対はマニュアルに則ったものではなく、スターバックスの企業理念・方針・精神をアルバイトと共有していることからこそ生まれているそうです。(週刊ダイヤモンド誌から)アルバイトの教育時間は80時間(内20時間は企業理念の共有とのこと)。その中で、従業員としてではなくパートナーとして、お互いに共通の理解を行うとのことです。
問題として表出しているのは、電話応対や言葉づかいであったとしても、その根深いところでは、先生方の診療方針や医院のめざす方向性が、いかに新人のスタッフまで理解・共有させているかが大きなポイントとなってまいります。
敬語の使い方、言葉に表情をのせるというのは、その次の指導になるでしょう。
まずは、先生の目指す診療・医院の方向性をスタッフに噛み砕いて伝え、共有していくことが必要と思われます。その上の、実際的な言葉づかいについては、次回お伝えいたします。