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まだ間に合う歯科医院の税金対策【1】お金の出ない最高の節税、「貸倒引当金」「買掛金」を活用する

2016年01月05日

こんにちは、税理士法人キャスダックの山下剛史です。

このメルマガでは「まだ間に合う歯科医院の税金対策」として、個人の確定申告で知っておいたほうがよい節税対策について、
お伝えしていきます。

第1回目の節税ノウハウは、「貸倒引当金」と「買掛金」の活用です。

(1)貸倒引当金とは?

貸倒引当金とは、期末において、未収となっている売上などについて、「もしかすると回収できないかもしれない」という理由から、
その未収の金額に一定の割合を乗じた金額を経費にできる、というものです。

具体的な例をあげると、歯科医院の場合、11月の社国保は翌年1月に、12月の社国保は翌年2月に入金になります。

しかし、会計上は「権利確定主義」といって、「もらえることが確定しているものは売上としなさい」という規定があります。

そのため、この11月、12月の社国保は、期末で入金はされていませんが、その年の収入にしなければなりません。

ところがです。

このお金はまだ入金されていませんので、税法では「もしかしたら入金されないかもしれない」という理由で、
この金額に対して一定額を経費に計上できるのです。
(実際にはまず間違いなく2ヵ月後に入金されるんですけどね)

これを「貸倒引当金」といいます。

個人の歯科医院の貸倒引当金は、
期末の未収金額の「5.5%」と決まっていますので、
期末で未収になっている未収入金に、5.5%を掛けた金額を
経費とすることができます。

たとえば、11月の保険の請求分が300万円、
12月の保険の請求分が400万円の場合、
(300万円+400万円)×5.5%=385,000円

これを今期の経費とすることができます。

(2)「貸倒引当金」は1年目だけが大きく節税になる

しかし、貸倒引当金は、設定した年の翌年以降については、あまり節税効果が見込まれません。

なぜかというと、前期で設定した貸倒引当金は「貸倒引当金戻入」として、当期の収益にしなければならないことになっているからです。

少しわかりづらいと思うので、具体的な数字を使って説明します。

平成26年の貸倒引当金が、上記のとおり385,000円でした。

そして、平成27年末の11月の保険の請求分が400万円、
12月の保険の請求分が350万円だったとしましょう。

この場合、平成27年分の経費にできる金額は、
(400万円+350万円)×5.5% = 412,500円

ただし、前期の貸倒引当金385,000円は、
「貸倒引当金戻入」として収入に計上しなければなりません。

つまり、385,000円が収益として計上され、
412,500円が経費として計上されますので、
その差額の27,500円に対する税金だけが節税となります。

期末の未収入金が前期と同じであれば、2年目の節税効果はゼロというわけです。

ただ、この貸倒引当金は、キャッシュが出ていかない節税ですので、何かモノを購入して節税をするというのとはワケが違います。

貸倒引当金を設定していない先生は、ぜひキャッシュが出ない、この「貸倒引当金」の節税を実行してみてください。

(3)買掛金(かいかけきん)を計上する

貸倒引当金と同じ理屈で、会計上、経費については「支払った時点」ではなく、「仕入れた時点」で経費になります。

そのため、決算時において仕入は完了しているけど、支払がまだのものについては「買掛金」
 (仕入れたけれども、まだ支払が済んでいないものという勘定科目です)
または「未払金」として、経費に計上することができます。

一般的に、材料代の支払などは仕入から1~2ヵ月後になることが多いと思います。

また、社会保険料の支払なども翌月に引落しになると思います。

これらを経費として計上することで、支払うべき税金は大きく変わってきます。

確認になりますが、売上については、お金をもらっていなくても
もらえることが確定した時点で収入とし、経費については、
お金を支払っていなくても、仕入を行った時点で経費とすることができます。

ぜひ覚えておいてくださいね。

【チェックポイント】
確定申告書のうしろに、「損益計算書」という書類が添付されています。

その損益計算書の39番に数字が入っていなければ、貸倒引当金は設定されていません。

キャッシュの出ない節税になりますので、ぜひ今期から設定してみてはいかがでしょうか?

税理士法人キャスダック代表税理士
山下 剛史
⇒ http://www.dentax.jp