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まだ間に合う歯科医院の税金対策【5】消費税増税前に医療法人成りを検討する

2016年03月07日

こんにちは。

税理士法人キャスダックの山下剛史です。

このメルマガでは、「まだ間に合う歯科医院の税金対策」として、個人の確定申告で知っておいたほうがよい節税対策について、お伝えしていきます。

第5回目の節税ノウハウは、「医療法人成り」です。

(1)売上が増えてもなぜかお金が残らない。その原因は「税金」です。

今年の確定申告での納税額がそろそろ税理士さんから報告を受ける時期になってきました。

平成27年度から、所得税と住民税を合わせた個人の最高税率は55%となりましたので、
売上が上がっている個人の歯科医院さんの納税は非常に多額になってきます。

一般的に、個人で所得が高くなってくると、最終的には医療法人成りによる節税を検討していくことが多いと思います。

医療法人成りの目安は、売上規模で8,000万~1億円ぐらいです。

これぐらいの規模になってくると、納税がかなり増えてきて、売上が上がってもなかなかお金が残らないということが起こってきます。

そこで出てくるのが「医療法人成り」です。

医療法人になれば、院長先生自身に給与を出すことができますし、医院にプールしたお金に対してかかってくる税金も「法人税」となり、
個人の税率と違って、利益が増えてもそれに比例して増えていくこともありません。

また、最近の税金の動向を見ていると、個人は増税、法人は減税の流れが加速していますので、今後も法人成りのメリットは増えてくると思います。

また、医療法人成りのメリットはこれ以外にもあります。

(2)医療法人1期目、2期目は消費税が免税となる

また、医療法人成りを行った年と、
その翌年(「特定期間※1」と呼ばれる期間の課税売上もしくは給与等の金額が1,000万円以下の場合に限る)については、
消費税の免税事業者となり、消費税を納める義務がなくなります。

そのため、免税期間中に患者さんから自費でいただいた消費税については納税の必要がありませんので、
自費の多い歯科医院の場合、キャッシュフローが非常によくなると思います。

また、仮に3期目から課税事業者になる場合には、ぜひ「簡易課税制度」の検討をおすすめします。

簡易課税制度とは、基準期間(一般的には2期前)の自費などの課税売上が5,000万円以下の場合に選択することが可能で、
人件費など消費税のかからない経費が多い歯科医院という業種では、簡易課税制度を選択したほうが有利になることが多いです。
(簡易課税制度を選択する場合には、事前に税務署に届出が必要となります)

また、自費などの消費税については、本来は預かっているだけで、免税事業者でない限り納める義務があるのですが、
納税の時期になると、他の支払などに使ってしまって、納税の資金が準備できないということも考えられます。

とくに、消費税を支払う必要のない「免税事業者」から、消費税を支払う義務のある「課税事業者」になった場合に、注意が必要です。

※1「特定期間」について詳しくはこちらをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/22/10.htm

(3)医療法人成りにともなう資産の売却は、消費税アップ前が有利

医療法人成りを行う場合、個人時代に所有していたチェアなどの器材(減価償却資産)や材料などの
棚卸資産を医療法人に売却するという会計処理が出てくることがあります。

この売却については、消費税の課税対象となりますので、売却した個人事業で消費税の納税が発生することが予想されます。

そのため、この法人成りにともなう資産の売却については、可能であれば消費税アップ前に行ったほうが有利となります。

(4)医療法人成りはタイミングが重要

都道府県によって異なりますが、医療法人成りはいつでもできるというものではなく、設立申請を行うことができる時期が決まっています。

また、医療法人成りの手続自体も半年ぐらいかかることが多いですので、もし医療法人成りを検討されている場合には、
行政に確認を取ってどのタイミングで法人成りをするのが有利か、ぜひ検討してみてください。

なお、医療法人成りは手続なども複雑で、都道府県によってルールも違います。

弊社では、医療法人設立についても多くの事例、ノウハウがありますので、
ぜひ今後医療法人成りを検討されていて、シミュレーションなどが必要であれば、下記フォームよりご相談ください。
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http://www.iryohojin.com/

税理士法人キャスダック代表税理士
山下 剛史
⇒ http://www.dentax.jp