MAIL MAGAZINE メールマガジン

歯科医院にお金を残すノウハウ【2】キャッシュフロー経営を理解しないとお金が残らない

2011年07月19日

<利益ではなくキャッシュに着目した経営を!>

私は、歯科医院にお金を残すには5つのステップがあると考えています。

そして、その中でもっとも大切で、最初にすべきことは「キャッシュフロー経営を理解する」ことです。

なぜ、このキャッシュフロー経営が一番にくるかというと、すべての歯科医院において、これを理解していないと、医院のお金の流れがわからなくなるからです。

たとえば、

「利益は出ているのに、なぜかお金が残ってこない」
「お金がないのに、なぜかたくさんの税金が発生する」
「税理士さんの説明がいつも意味不明」

などが起こります。

結果として、どれだけ売上を上げればお金が残るのかもわからなくなり、自分やスタッフが疲弊してしまう、という状況に陥ります。

では、キャッシュフロー経営とは何か?

ひと言でいえば「利益ではなくキャッシュ(お金)に着目した経営」のことです。

多くの歯科医院の先生が、大いなる勘違いをしていることは「利益が出ればお金が残る」というものです。

<経費にならない4つの支出に要注意!>

通常、歯科医院に残るお金は、利益よりも少なくなることがほとんどです。

では、なぜ利益よりも残ってくるお金が少ないのか。

その大きな理由は、「会計上の経費(損金)にならない支出があるから」です。

今回は、その代表的な「経費にならない支出」を4つご紹介します。

 

1:10万円以上の資産の購入
10万円(現在は一定の要件のもと30万円)以上の器材などを購入した場合には、これは1年で一発経費とすることはできずに、「耐用年数」と呼ばれる税法上で決められた期間にわたって、経費に計上することになっています。

これを会計上の用語で「減価償却」といいます。

たとえば、350万円のチェアを現金一括で購入した場合、チェアの耐用年数は7年と決められているため、その購入した年に経費にすることができる金額は約50万円となります(厳密にいうと、償却方法などにより異なりますので、顧問の税理士さんにご相談ください)。

つまり、お金は350万円出ていっているのに、経費になる金額は50万円だけです。

逆に、翌年以降は、お金は出ていってなくても、50万円の減価償却費が計上されるということになります。

 

2:借入金の返済
借入金の返済は経費にはならず、利益から返済していく必要があります(ちなみに、利息は経費になります)。

テナント開業の歯科医院の場合であれば、一般的に月に約40万円~50万円ぐらいの返済が多いのではないかと思います。

たとえば、毎月の返済が40万円であれば、年間で480万円の利益は借入の返済だけで吹っ飛んでしまいます。

ただし、通常はこれと同じぐらいの「減価償却費」が経費になっていることが多く、借入の返済額から、キャッシュのアウトのない減価償却費を相殺させた差額のお金がマイナスになる、という計算になります。

 

3:税金の支払
税金の支払も、基本的には経費にはなりません。

税金は、利益に対して課税されるものですから、利益の額に対して一定の税率をかけたものを、税金として納めます。

ただし、個人の場合、社保から一定の所得税が毎月天引きされますので、確定申告の時にはその社保から天引きされた税金と、最終的な1年の利益に対して計算した税金の差額を納めることとなります。

 

4:個人の生活費
現在、全国の約9割の歯科医院さんは個人事業主だと思いますが、個人の場合、自分の生活費は経費には計上できません。

そのため、借入金や税金をすべて支払った後の残ったお金から生活費を取ることになります。

 

このように見てみると、利益にならない支出はかなり大きな金額になるということがわかります。

そのため、残ってくるお金を計算する場合には、上記の支出を理解した上で、資金繰りなどを考えていく必要があります。

この辺の詳しいことについては、拙著『金持ち歯科医になる!利益を出す経営の極意』に詳しく書いてありますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください。

⇒ http://tinyurl.com/2rqdyt