2010年12月20日
いよいよ今回で最終回となりました。
まだまだ皆様にはお伝えしたいことはたくさんありますが、その中からよく相談を受けるテーマを最後に取り上げることにしました。
それは「マンネリ化の打破」です。
マンネリ化しているスタッフの意識や行動を、どのようにして変えていったらよいか?
事例を取り上げて説明することにします。
文学や芸術の領域で、表現がある型にはまって進歩がないことをマンネリズムといいます。
スタッフの仕事振りに変化がなく、相も変わらず淡々とマンネリ化した仕事をしていれば、多くの院長先生は不満を感じることでしょうし、日頃からもっと患者様が満足できる医院に改善したいと想いを抱いていればなおさらです。
しかし、スタッフの意識や行動を変えることは容易ではありません。
どうすればよいでしょうか?
事例1:「ある日、突然変わった娘さんのケース」
お母さんは、小学校に入学したばかりの娘が、他の児童と比べて身長が低いことを気にかけていました。
そのために、食事のときにはいつも「もっとたくさん食べなさい、でないと背が伸びないよ!!」と強くいうのですが、娘は逆らうだけで一向に食が細いまま変わりません。
ところが不思議なことに、夏休みの家族旅行から帰ってきたとたんに、食事の量が増えていったのです。
お母さんは、きっかけや理由があるのではないかと思い、それを確かめたくて娘に問いかけてみました。
すると、次のように答えたのです。
娘「飛行機に乗ったとき、キャビンアテンダントさんがすごく恰好よかったから“私もなりたい!”ってママにいったことを覚えている?」
母「ええ、覚えているわよ」
娘「その時、ママが“キャビンアテンダントになりたいのだったら、背が高くないとダメよ。だって、高いところにある荷物に手が届かないでしょ!”っていったから、これからは好き嫌いしないでたくさん食べることにしたの」
母「(夏休みの旅行に連れて行ってよかったわ!)」
このように、人は何度言い聞かせてもなかなか変わらない、変われないものです。
が、この事例のように、外部から刺激を与えることが功を奏して、相手の意識や行動が変わる場合があります。
ではもう一つ事例を紹介しましょう。
事例2:「ユニフォームを正しく身につけるようになった若い社員のケース」
ある鉄道会社では、若い社員のユニフォーム着用の仕方が雑であることに頭を抱えていました。
会社が指定したとおり着用しないと、本人の安全に支障をきたすからです。
若い社員の言い分は、だらしなく着用しているほうがファッション性が高いということです。
そこで、安全教育担当のAさんは航空会社へ見学に連れていくことにしました。
飛行機の整備スタッフたちの仕事振りを見てもらうことで、若い社員の刺激になるのではないかと考えたからです。
見学から帰ってきた後に、ユニフォームの着用ルールが、以前よりも守られるようになったという効果が得られたということです。
若い社員に、その理由を確認したところ、「整備士の皆さんがユニフォームをきちっと着用し、きびきび仕事をしている姿がカッコよかった」ということでした。
まさしくAさんのねらいどおりでした。
私は、いろいろな企業でセミナーの講師を務めています。
その中で社員のモチベーションを高めた経験談を、経営者や管理者などから聴く場合がよくありますが、中でもここで示した“あるきっかけ=一見”という事例がよくあります。
学習経験の機会を多くすることが大切
人の意識と行動が変わることを学習といいます。
学習には必ず経験が必要です。
したがって、スタッフのマンネリ化を打破しようとする場合には、何らかの経験の機会を意図的に数多くつくってあげることが効果的です。
たとえば、顧客満足度NO.1のレストランを予約してみてはいかがでしょうか?
院長先生「今日のレストランはすごいよ」
スタッフ「何がすごいのですか?」
院長先生「顧客サービスNO.1なんだって。調べたんだ」
スタッフ「それはすごいですね。でも、何で私たちも……」
院長先生「院内のサービス向上に役立てようと思ってね」
スタッフ「そうですか!でもこのお店の料理は高そうですね」
その結果は、スタッフの仕事振りをがらりと変えたのです。
食事代は投資と考えたらやすいものです。
6回にわたりありがとうございました。
皆様の医院のご発展をお祈りいたします。