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スタッフのモチベーションアップ【5】 目的意識が低いスタッフの動機づけ

2010年12月06日

“目的意識が低いスタッフ”も、院長先生にとっては何とかしなければと思っている存在です。

そこで今回は、目的意識が低いスタッフをどう動機づけていくかについて、考えていくことにします。

 

1 目的意識が低いスタッフとは

ある医院では、患者様に対して気持のよい挨拶をするように、毎朝、スタッフに指示・命令を伝えています。

しかし、スタッフAさんの挨拶の様子は、院長のイメージとはまったく違います。

その時、院長は「Aさんは何のために挨拶をするのか、目的そのものがわかっていないのかな?」と感じました。

こんな事例に限らず、目的意識が低い(と感じられる)スタッフは、どんな職場にもいるものです。

それでは、目的意識を高めるためにはどうすればよいか考えていくことにしましょう。

 

2 目的意識を低くする要因は“やらされ感”

目的意識を低くしている要因はいろいろ考えられますが、中でもスタッフの内面にある“やらされ感”が影響を与えている場合が多いようです。

“やらされ感”というのは、スタッフは「院長(上司)の指示・命令(どおり)に従うしかないし、それがもっとも無難(自分によいアイデアがあってもいわない)」という認識のもとで生まれます。

また、この認識は“指示・命令されたことだけをやり、それ以外のことはやる必要がない”というような行動に結びつけていきます。

よくいわれる指示待ち型スタッフの典型です。

 

3 指示待ち型スタッフに陥ってしまうのは……

指示待ち型スタッフに陥っている要因ですが、大きな影響を与えているものは、やはり院長(上司)の日ごろのかかわり方です。

中でも、スタッフをロボットのようにしてしまうケースとしては、院長(上司)の指示・命令のスタイルが、すべて答えを教える傾向がある場合です。

日頃から院長(上司)が、スタッフに対して答えを教えていくようなかかわりをしていると、スタッフは確実に指示待ち(答え待ち)になっていきます。

スタッフは、院長(上司)の答えがもっとも妥当解だと思い、それに従うことがもっとも合理的でラクだと思うようになっていくのです。

しかし、たとえ合理的でラクであっても、そこにはスタッフの創意工夫の余地はなくなります。

そのため、仕事をやり終えても、達成感や成長感、そして満足感は得られません。

やり終えてもスタッフにとって得るものがないとわかっていますので、何に取り組んでも、モチベーションは上がりませんし、何のためにその仕事をしているのかということ自体にも、あまり関心を持つことはありません。

では、どうすればよいのでしょうか?

 

4 目的意識を高めるスタッフを育成するためには

(1) 院長(上司)が認識を変える

まずは院長自身が、院長(上司)の役割は、指示・命令を的確・明確にすることだけではなく、スタッフに考えるきっかけを与えることも重要な役割である、と認識を変えることです。

スタッフが思いどおりに動かないと感じている場合には、考えるきっかけを与えることに重点をおいて医院の運営を心がけていくことです。

そうすることで、スタッフは考えながら仕事に取り組み、モチベーションや仕事に対する目的意識も徐々に高まり、結果としてよりよい医院の運営実現につなげていくことができます。

(2) 考えるきっかけを与える

考えるきっかけを与える場合、“発問”を活用するときわめて有効です。

そこで、指示・命令と発問の違いをみてみましょう。

例1)

・指示)院長「最近の挨拶はよくないね。もっと笑顔で言ってください」

・発問)院長「患者様は、私たちの挨拶を気持ちよく受け止めてくれているだろうか?」

例2)

・指示)院長「患者様が待ち時間に退屈にならないように週刊誌をおいておきなさい」

・発問)院長「患者様は待ち時間を退屈に感じていないだろうか?」

院長はどうしても、スタッフにあれこれ指示・命令したくなるものですが、その部分のいくつかを「発問」に変えていきましょう。

スタッフの挨拶の仕方に不満があれば、どのようなやり方にすればよいかを「発問」によって今の自分のやり方について考えさせます。

そして、スタッフのアイデアを採用し、やらせるのです。

やり方を変えて実践したときに褒めてあげるのです。

 

このようなかかわり方が基本です。

今日から、発問型院長を目指してみませんか?