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スタッフのやる気を引き出す褒め方・叱り方【1】 褒めてやる気を引き出すツボ

2009年10月05日

みなさんこんにちは。

株式会社ブライソン経営研究所の山田です。

これから6回にわたって“やる気を高める褒め方・叱り方”についてお話しさせていただきます。

第1回目のテーマは“やる気を引き出すツボ”です。

ここで紹介する“やる気を高めるツボ”を、院長先生が意識するだけで、スタッフに対してより効果的な褒め方ができます。

“3ツボ”を抑えたやる気を引き出す褒め方の例

褒めるとは「その人の良い点を見つけて、あえて言葉にして伝える行為」ですが、この褒めるには3つのツボがあります。

それは
「人は誰もが自分の存在価値を感じていたい!」
「人は誰もが自分が有能であることを実感したい!」
「人は自分が他者の役に立っていること実感したい」
という3つの欲求を満たしてあげることです。

では、まず3つのツボを意識した褒め方の具体例を紹介することにします。

○ツボ1:スタッフ一人ひとりの存在に目を向ける言葉を投げかける

例)「山田さん、毎日みんなの机の上を拭いてくれていますね。そのお陰で、私は毎日気持よく仕事を始めることができているよ」

○ツボ2:努力や成長ぶりを認める言葉を投げかける

例)「山田さん、仕事には慣れましたか? 3ヵ月前と比べるとずいぶんと書類作成が早くできるようになりましたね。努力したのですね」

○ツボ3:仕事が周囲によい影響を与えていることを指摘する

例)「この前、患者さんが“入り口の花がとてもきれいだったわ”っていっていたよ。山田さんの患者さんに対する思いやりの気持ちが、花を通じて確実に伝わっているね」

このように、日頃からスタッフの仕事のぶりを観察して、良い点(優れている部分や長所など)を見つけて、言葉で伝えるということを意識して行うことがポイントです。

褒めることが、人のやる気を高めるのは、人間が生来持っている「欲求を充足させたい」ということと深い関係があるからです。

次に“3つのツボ”について、簡単に触れていくことにしましょう。

 

<ツボ1>人は誰もが自分の存在価値を感じていたい!

人には「自分の存在価値を感じていたい、周囲の人から認められたい」という“自我自尊・承認の欲求”があります。

これは“自分の存在あるいは価値が、外部(周囲)から自発的に感じられる場が与えられる”ことによって充足されるのです。

たとえば、周囲から「山田さんのお陰で、仕事をスムーズにすすめることができたよ」といった言葉を投げかけられることが、それに相当します。

逆に、このような場が少ない環境にいると、欲求は充足されず、結果としてやる気が低下していきます。

褒める、つまり自分の良い点を他者から客観的に指摘されることは、自分の存在に目を向けてくれただけでなく、その価値を認めてくれたという点で、“自我自尊・承認の欲求”が充足されるのです。

したがって、スタッフを褒める場合には、スタッフ自身が自分の存在そのものや、価値が感じられるような言葉を投げかけてあげることです。

 

<ツボ2>人は誰もが自分が有能であることを実感したい!

人は誰もが成長したい、より有能でありたいという欲求を持っていますので、上司から、良い点(優れた点や強みなど)を言葉で指摘されることは、本人にしてみれば“自分が有能であるという証”を確認できたことになり、満足感が高まります。

たとえば、昨年より高いリコール率を目標に掲げたスタッフがいたとしましょう。

彼女はなぜ高い目標を設定したのでしょうか?

それは、高い目標を達成することで自分がより有能であることを実証し、かつそれを周囲に認めてもらうことによって、欲求を充足させたいと思うからです。

ですから、褒める場合には、スタッフが以前よりも成長した部分、目標達成の実績を指摘し、具体的に褒めていくと効果的です。

 

<ツボ3>人は自分が他者の役に立っていること実感したい

「患者さんから“ありがとう”という言葉をいただいたときに、仕事のやりがいを感じます!」と答える医療従事者が多いことでしょう。

そのように答える人の気持ちは、皆さんご自身の経験に照らしわせてみても納得できると同時に、十分共感できることではないでしょうか。

言うまでもなく、多くの人は自分が保有している能力を発揮し、そして他者の役に立ちたいという欲求を持っています。

学生たちが就職を決める際にも、社会に貢献できる職種・仕事であるという条件は少なからずあります。

そこで、スタッフを褒める場合には、スタッフの仕事が、患者さんや地域のために役立っている、周囲に対してよい影響を与えている事実を指摘してあげることです。