2009年12月07日
みなさんこんにちは。株式会社ブライソン経営研究所の山田です。
今回は、やる気を引き出す効果的な叱り方について説明していきます。
ここでは、院長先生がスタッフの好ましくない言動を目の当たりして、直接叱る場面をイメージしてください。
1.好ましくない言動を具体的に叱る
まず、大切なことは好ましくない言動があったら、具体的に指摘して叱ることです。
前回説明したように、叱る行為は教育的指導という意味合いがあります。
好ましくない言動があった場合に、それを好ましい状態に修正することが目的ですから、スタッフが行った言動の「何がどのように良くなかったのか」を、具体的に指摘することが大切です。
逆に「何がどのように良くないのか」を、スタッフが理解していないと、同じ過ちを繰り返すことになってしまいます。
スタッフが同じ過ちを何度も繰り返す場合には、その原因はスタッフだけではなく、叱る側にもあるといってよいでしょう。
2.基準やルールはあらかじめ明確に示しておく
話が前後しますが、スタッフを叱ったら「そのような説明は受けていなかった。事前に説明を受けていれば、こんなことはしなかった。自分だけの責任ではない!」というように、反論をしてくる場合もあるでしょう。
その意味でも、大切なこと、守ってもらうべきルールは、あらかじめスタッフに明確に示しておくことです。
毎日説明する必要はありませんが、一度は必ず面と向かって説明をし、承諾を得ておくとよいでしょう。“こんなことは当然わかっているから、あえて説明しなくてもいいだろう”というスタンスは禁物です。
“伝えないかぎり理解できないし、伝えても容易には理解してもらえない”くらいのスタンスでいましょう。
3.人前では叱らないようにする
極力、人前で叱ることは避けましょう。
人は誰もが自尊心を持っています。
後輩の前、患者さんのいる前などで叱られた場合には、たとえ叱られる理由がわかっていても、叱った院長先生の配慮のなさに嫌悪感を抱くものです。
周囲の人も、とりわけ患者さんなどは“人前で叱るのはいかがなものか?
院長の日頃の指導が悪いからでしょう!”というように、矛先が院長先生に向く可能性があります。
叱る場合には、他の人がいない場所を選んで行う配慮が必要です。
4.叱る場合は“問いかけて考えさせる”が基本
スタッフを別室に呼び、そこで叱る状況となりました。
では、どのように進めていけばよいのでしょうか?
大切なことは、スタッフの学習を促進することです。
少々難しい話になりますが、“学習する”とは、物事に対する認識と行動が変わるということです。
言い換えれば、人の行動は認識に影響を受けていますので、認識を変えないと行動も変わらないということです。
好ましくない言動を、本来の好ましい言動ができるように指導するわけですから、スタッフの現在の認識を変える必要があります。
その場合、一方的に“今後はルールを守りなさい”と指示・命令するよりも、“なぜルールを守らなくてはならないのか”というように、問いかけてスタッフ自身に考えさせ気づかせるほうが、学習が促進され、結果的に認識を変えることに結びつきやすくなります。
ですから、叱る場合は“問いかけて考えさせる”方法が効果的なのです。
次に、問いかけて考えさせる場合の事例を紹介しましょう。
★ステップ1:導入(問題提起)で、具体的に指摘する
「先ほどの○○さんの、患者さんに応対には問題がありました。
わかりますか?」
★ステップ2:問題点に気づかせる
「具体的にどこが問題なのか、問題点を指摘できますか?」
★ステップ3:現在の考え方や認識を確認する
「では、なぜ○○さんはそのような応対をしたのですか?」
★ステップ4:本来あるべき対応を考えさせる
「本来であれば、○○さんはどのように応対すべきだったでしょうか?」
★ステップ5:課題を形成させる
「同じ誤りを繰り返さないためには、○○さんはどうすればよいと思いますか?」
★ステップ6:約束の内容を確認し宣言させる
「ステップ5の課題に取り組めば、2度と同じ誤りを繰り返さないようにできますね。では、もう一度ステップ5の内容を、○○さんが言葉にしてください」
★ステップ7:期待する
「これで大丈夫ですね。今後も○○さんがいい仕事をしてもらえるように期待しています」
〔注意点〕
*なるべく相手の名前を呼ぶこと。
スタッフ自身が主体的に考えるという自覚を持ってもらうためです。
*最後は、必ずスタッフへの期待の言葉を投げかけてください。
次回も、引き続き叱り方について説明していきます。