2010年11月15日
前回に引き続き、やる気が感じられないスタッフのモチベーションアップに的を当てることにします。
前回はやる気が感じられない原因が、スタッフ自身にあるケースを取り上げて説明しましたが、今回は、院長先生自身のスタッフに対する指導のしかたが、スタッフのやる気を低下させるきっかけをつくっているケースを取り上げてみます。
1:教わる側の立場に立った指導とは?
人に指導をするときは、教わる側の立場になって行うことは大切なことです。
ただ、教わる側の立場ということを、多くの先生方は、自分を基準にして、自分が教わる側であれば、どのように指導してほしいかを考え、それをスタッフ(相手)の立場を考えた指導と思っているのではないでしょうか?
しかし、それは必ずしもスタッフ側の立場になった指導とはいえません。
時には、それがスタッフの学ぶ意欲を低下させることになってしまうかもしれないのです。
というのは、院長先生にも、スタッフにも、それぞれ学習スタイルがあるからです。
2 学習スタイル理論ってご存知ですか?
学習スタイル理論とは、人の学び方の好みといってよいでしょう。
つまり、院長先生自身が好む学び方があるように、スタッフにも好みの学び方があるのです。
ですから、院長先生の学習スタイルとスタッフの学習スタイルが同じタイプであれば、院長先生の好みの指導のしかたはスタッフにも好意的に受け入れられ、意欲的に物事を吸収していくでしょう。
逆に、双方の学習スタイルが異なる場合には、指導する側もされる側も違和感を持ち、一生懸命に指導していても、スタッフの吸収が思ったほど芳しくなかったりします。
学習スタイルについては、いろいろなタイプがあることが研究されていますが、ここでは、スタッフの指導に役立ちそうなものを2つ説明しましょう。
3 物事を理解するときの指導のしかた
たとえば、新しい業務を任せる場合、はじめに業務の内容そのものを正しく理解してもらわなくてはなりません。
このとき、頭の中で理路整然と理解したいタイプ(A)と、実際に体験して感覚で理解したいタイプ(B)があります。
(A) 頭の中で理解したいタイプ
・新しいことを学びとる場合、はじめに一通り説明を受けることを好むタイプです。
したがって、担当業務の内容について、はじめに業務の目的や原理原則などを明確に説明するとよいでしょう。
・このタイプは“やってみればわかるから!”という指導を、もっとも苦手とします。
頭の中で理解できていないと、行動に移すことができないばかりか、そのような指導に対して抵抗感を抱きます。
(B) 感覚で理解したいタイプ
・新しいことを学ぶ場合、はじめに体験して感覚的に理解したいタイプです。
このタイプはとりあえず、やってみて感覚的に物事を把握していくのが得意ですから、少し説明をしたら実際にやらせてみる、
あるいは、やらせた後に説明を加えていくと理解がすすみます。
・(A)タイプが好むような説明重視の指導では、飽きてしまいますし、イライラ感が高まります。
実践重視の指導を心がけましょう。
4 上達のための練習をさせる場合の指導のしかた
業務の内容が理解できたといっても、それがすぐにできるようになるわけではありません。
上達のための練習が必要となります。
この時も、自分自身のやり方で練習したいタイプ(A)と、どのような練習をすれば上達が早いか、アドバイスを求めるタイプ(B)の2つがあります。
(A) 自分の考えで練習したいタイプ
・基本的に、自分で自分にあった練習方法を考えながら学習をしていくタイプです。
したがって、このようなタイプには、あまり細かな指導をするよりも、任せて、相談にのるくらいがよいでしょう。
・あまり細かな指示を出すと、かえってやる気がなくなってしまいます。
(B) アドバイスを求めるタイプ
・独自の練習方法を考えることにはあまり関心がありません。
業務ができるようになるためによい練習方法があれば、積極的に取り入れていきたいタイプです。
したがって、ある程度はじめから練習の方法について指示してあげるほうがよいでしょう。
・(A)タイプが好む“スタッフに任せる”指導は、いい加減な指導であると感じてしまい、やる気は低下してしまいますので要注意です。
では、スタッフの学習スタイルを見分けるにはどうすればいいのでしょうか。
結論からいえば、スタッフと話し合うことがもっとも確かな判定法ですが、その際、次の2つの質問をスタッフに対して投げかけてみると、比較的簡単に判定できます。
Q1:物事を理解する場合の質問
「はじめに説明を十分したほうがよいか? まずは、体験してみたいか?」
Q2:上達するための練習についての質問
「スタッフ自身に任せてよいか? 上達方法を指示・アドバイスしたほうがよいか?」