2009年12月21日
みなさんこんにちは。
株式会社ブライソン経営研究所の山田です。
いよいよ最終回です。
それでは前回に引き続いて、やる気を引き出す効果的な叱り方について説明していきます。
1.直後に叱るほうが効果的
叱る場合は、実際にその行為があったことを確認したら、速やかに行うほうが効果は高くなります。
この場合の効果とは、同じ過ちや失敗を繰り返さなくなるということです。
では、なぜ直後がよいのでしょうか?
理由は二つあります。
一つめは、鉄は熱いうちに打て!のように、スタッフ自身も身にしみているときに叱ったり注意するほうが、インパクトがあること、二つめは、記憶が鮮明に残っているため、失敗や過ちの原因を分析しやすく、同じことを繰り返さないための対策を考えやすくなるからです。
2.ある程度時間が過ぎた場合の叱り方
逆に、時間がある程度過ぎてから叱る場合は、注意が必要です。
たとえば、メンバーの顔を見て、1ヵ月前の遅刻をした件を思い出すやいなや「山田さん、そういえば1ヵ月前のことだけど、遅刻をするなんてとんでもないことだ!一体、何を考えているのだ!!」などと切り出したとしましょう。
この場合、スタッフは“何か今日は機嫌が悪いな、何かイヤなことでもあったのかな?”と思ってしまうでしょう。
では、どうすればよいのでしょうか?
この場合は、大切なことだから、釘をさす程度にしておきましょう。
「山田さん、1ヵ月前の話で悪いんだが、あのような場面で時間に遅れることは絶対に許されないことだからね。
山田さんもそんなことはわかっていると思うが、大切なことなのであえていっておくよ。
2度と繰り返さないように、いいですね」と冷静に指摘し、念押しするほうが指導的な意味合いが伝わり効果的です。
3.立場の違いをわきまえる
「少しは、経営する側の身になって考えてもらえませんかね!!」というようなセリフは厳禁です。
この瞬間に、スタッフの気持ちは院長から離れていきます。
院長とメンバーとでは立場が違いますので、モノ・コトに対する見方やとらえ方はまったくちがいます。
時々、“経営者の気持ちもわかってほしい”とグチをこぼす企業の経営者もいますが、それは無いものねだりです。
自分が子供を育てる立場になって、親の気持ちがわかるように、“経営”していないスタッフに、“経営者の立場を理解する”ことはできません(断言します)。
実際に、そのように叱られたスタッフ側の気持ちはどのようなものでしょうか?
おそらく“院長こそ私たちスタッフのことを理解していないのではないか?!”と思うはずです。
このことは、表裏の関係にあります。
院長が、スタッフを思いやり、理解することができていれば、院長のその行為に対して、今度はスタッフが院長に役に立ちたいと考え、院長の立場になってモノ・コトを考えて行動するようになるのです。
人のこのような特性を“好意の返報性”といいます。
人は、好意には好意で返そうとするし、好意を持っていない相手に対しては、あえて好意を持たないというものです。
もし“なんで自分のことをわかってくれないのかな?”と感じたら、逆に“自分自身がスタッフのことをあまり理解できていないのかな?”と発想し、対策を考えるほうが医院の経営はよくなっていくでしょう。
では、最後に叱った後の魔法の言葉をお伝えしましょう。
4.落ち込んだスタッフに対しては“魔法の言葉”を!
叱りすぎてしまってスタッフが、ひどく落ち込んでしまった場合には、早く立ち直ってもらうためのフォローが必要です。
とくに、真面目なスタッフ、完璧主義のスタッフによくありがちですが、自分の失敗を重く受け止めすぎて、ひどく落ち込んでしまう傾向が見られます。
過去の過ちや失敗を悔やんでも仕方がありませんし、早く立ち直って、いい仕事をして挽回してもらうほうが、医院にとってもスタッフ自身にとってもプラスです。
そんな時には、スタッフを元気づける“魔法の言葉”を投げかけてみましょう。
「……でも、このような失敗は誰にでもあることですよ。けっして山田さんだけではないですよ」
落ち込んでいる人間は、“自分だけが……”と発想し、自分で自分を責め、放っておくといつまでも、そしてトコトン自分を追い詰めていってしまいます。
したがって、このような状態から解放し、自分自身をもう少し客観的に見つめる心の余裕を与えてあげる必要があります。
“けっしてあなただけではないですよ”あるいはとくに完璧主義なスタッフに対しては“いつも100点取らなくてもいいのですよ”というような言葉を投げかけてあげると、心の余裕が生まれ、立ち直りは早くなります。
これは私自身の経験でもありますので、間違いはありません。
以上6回にわたり、ほめ方・叱り方について説明をしてきました。
皆様の発展のお役になれれば幸いです。