2009年11月02日
みなさんこんにちは。株式会社ブライソン経営研究所の山田です。
前回はやる気を引き出す上できわめて効果が上がる褒め方の技法1、2、3を紹介しましたが、引き続き今回も残りの技法4、5、6を紹介していきます。
“習うより慣れろ”で、普段から気軽に使っていくことが大事です。
★技法4:「平等に褒める」
1回目のテーマで触れましたが、褒める行為は評価的な意味合いがありますので、公平性が必要です。
したがって、スタッフが複数いる場合であれば、平等に褒めるということを、とくに意識しておかなくてはなりません。
“そんなの当たり前でしょう”という方も少なくはないと思いますが、公平性に欠けることに起因した不満を持つスタッフが、けっこう多いのです。
どうしてこのようなギャップがあるのか、象徴的な事例をご紹介しましょう。
例)スタッフA「院長先生、今日の掃除は普段手の届かないところまで念を入れてやっておきました」
院長先生「ありがとう。Aさんのおかげで院内がいつもきれいですね」
このやり取りを、近くで聞いていたスタッフBさんの気持ちを考えてみましょう。
「私だっていつも掃除をしっかりやっているのに、Aさんだけ褒めるなんておかしいわ。今日だって私も手伝ったのに! 院長先生は何もわかってないわ。
明日から掃除手伝うのをやめてしまおうかしら」となりがちです。
このケースのように、他に関わっているスタッフがいるのであれば、同じように褒めてあげなくては不公平感が溜まり、やる気の低下につながっていきます。
事実確認をしないで、短絡的に褒めたりしてしまうと、このような不公平感を生むことになりますので要注意です。
スタッフの中には、Aさんのように普段から自己主張ができる方と、Bさんのようにそうでない方がいます。
どちらのスタッフも褒められたい、認められたいという欲求は同じように持っていますので、すべてのスタッフに対して目配り・気配りを忘れないようにしましょう。
★技法5:「人前で褒める」
人は周囲から認められたいという欲求を持っていますから、人前で褒めると、スタッフの欲求はより満たされますので、やる気を高める上で効果的です。
それを聞いている、他のスタッフも“私もあのように認められたい”という、やる気につながることも期待できます。
ところで、人前で褒める場合に注意しなくてはならないことがあります。
それは、チームであればメンバー全員を褒めこと。
特定の人だけが褒められることに対する不公平感をなくすことです。
「どうしてAさんだけ褒められるの? おかしいよね」というよう声が出ないように、全員を褒めてあげましょう。
★技法6:「始めにスタッフの現状認識を確認してから褒める」
褒める場合には、スタッフの現状認識を先に確認してから行うと、よりよい関係づくりに役立ちます。
それはどういうことでしょうか?
次に、事例をあげて説明しましょう。
スタッフAさんが“今日の掃除はちょっと手抜きだったかな?まあ、いいや”と思っているとしましょう。
そうした状況なのに、院長先生が「今日も掃除、頑張ってくれているね。
ありがとう!」と褒めた場合、Aさんはどのように感じるでしょうか?
おそらく“院長先生は適当に褒めているだけなんだな。結局、私たちの仕事ぶりはよく見てはいないから頑張りがいがないな”という気持ちになりがっかりするでしょう。
こうなってしまう原因は、もちろん院長先生がスタッフの仕事ぶりをよく見ていないことにあります。
他の原因として、スタッフの現状認識を確認しないまま褒めてしまったことにあります。
褒める場合には、スタッフの現状認識を始めに確認してから行うと、状況はまったく変わります。
事例で説明しましょう。
○スタッフA
「(今日の掃除はちょっと手抜きだったかな? まあいいや)」と思っている。
○院長先生
「Aさん、今日も掃除ありがとう。今日の掃除の出来具合はどうですか?(スタッフに対し、掃除の出来栄えをどのように感じているかについて確認します)」
○スタッフA
「ありがとうございます。でも、あの-、いつもよりはちょっと出来がよくないかも知れません。すみません(院長先生に手抜きがばれたかな?)」
○院長先生
「そうですか?毎日掃除してくれていることは感謝していますよ。掃除はあなたに任せているわけだから、少なくともあなたの納得できるレベルまでは頑張ってやってくださいね」
○スタッフA
「あっ、はい。(もう1回やり直すか)」
このようにスタッフの納得の度合が高まります。
以上、3回にわたって褒める技法について説明してきました。
次回からは3回にわたり、“効果的な叱り方”について説明をしていくことにします。