2009年09月24日
これまで「患者さんが快適に過ごしていただける工夫」をご提案してきましたが、最終回の今回は、働く自分たちを快適にする空間演出を考えたいと思います。
私たち医療従事者は、患者さんに接するときに「優しい気持ち」が必要です。
しかし、心も身体も良い状態でないと、他人に優しくすることは難しいと思います。
1:スタッフルームを整えよう
勤務中、スタッフルームにはあまり長い時間いるわけではなく、患者さんから見える場所でもないので、診療室ほど気にかけない場所かもしれません。
でも、私たちにとって、朝一番に入る場所、休憩時間を過ごす場所、帰りには疲れた状態で入る場所です。
整理整頓と掃除を心がけるのは当然ですが、もう一歩すすんでより気分転換ができるようにしたいものです。
・水周り・トイレの掃除をきちんとする:
いつ誰が使っても気持ちよく使えるように、また、当番制にしなくても、自発的にきれいにできているのが理想です。
・窓、ブラインド、カーテン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などもきれいにする:
ほこりは運気を下げるともいわれています。
見えないところも掃除しておきましょう。
・私物はきちんと管理する:
万一、紛失したりすると、お互いに嫌な気分になります。
ロッカーにしまう、高価なものは持ち込まないなど気をつけたいものです。
・食べ物をきちんと管理する:
ゴミやペットボトルを各自で始末するのは当然ですが、冷蔵庫に私的な食べ物を長期間入れないようにしましょう。
また、においの強い食品は診療室に影響があることも考えましょう。
・植物・絵・ポスターなどを飾ってみる:
個人の好みがあるので難しいのですが、花を飾ったり、誰もが和むような絵や写真を飾ったりすると気分転換になります。
・アロマテラピーを活用する:
第1回、第2回でご説明したアロマテラピーですが、休憩時間にも使ってみてください。
フットスプレーで足の疲れを取る、精油を入れたオイルを用意し、スケーリングで凝った手をマッサージするなどがおすすめです。
2:診療室の物を私物化しない
携帯電話の充電をする、仕事以外のコピーをとる、販売品や試供品を勝手に使う……など、思わずやっていませんか?
些細なことですが、する人としない人がいると、そのことが徐々に違和感に変わっていきます。
診療室のものは、すべて個人のものではないことをはっきりさせておくと気持ちよく過ごせます。
スタッフは、それぞれ年齢も生活環境も違うことが多いのですが、仕事をスムースにするためにもコミュニケーションは大切です。
スタッフみんなが通じる話題を選び、楽しい雰囲気をつくるように心がけたいですね。
スタッフ同士がギスギスした関係にあると、その雰囲気が必ず患者さんにも伝わりますから、問題が生じたら早めに解決すること、解決するための仲介をすることです。
……と当たり前のようなことを書いてしまいましたが、当たり前のことを当たり前に実行することは案外難しいものです。
でも、患者さんに向き合うだけではなく、1日の長い時間を一緒に過ごすスタッフや先生たちと気持ちよく仕事をするために、必要なことだと日々感じています。
私が勤務するある歯科では、女性の先生が朝と帰りにお茶を用意してくれます。
大変申し訳なく思いつつも、お茶をいただくと、朝は頑張ろうという気分になりますし、帰りは疲れが軽くなるように感じます。
このように、誰に対しても自然に心配りができることはとても素敵だなと思います。
この6回の連載にお付き合いいただきありがとうございました。
仕事をするのは楽しいことも多いですが、ストレスも多く溜まりがちです。
ちょっとした工夫で、みなさんの毎日に少しでも「楽しい」が増えてくれたらうれしいです。