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スタッフのヤル気を高める法【1】「勢いの法則」を活用して、院内を活性化する

2011年10月03日

女性の多い組織を率いる院長先生たちから「どうしたら、スタッフがもっと積極的になるのか?」という質問をよく受けます。
それに対する答えであり、私が試し、もっとも速効性のある方法をお伝えします。

私が女性9割の組織をもったときに、兵法に関する勉強をし、次のような言葉に出会ったのです。
「力のある多勢の軍であっても、勢いがなければ、弱い少数の軍に負けることがある。逆に、力のない少数の軍であっても、勢いにのれば、強い多勢の軍に勝つことがある。要は勢いがあるかないかだ」
そうか・・・、組織には“勢い”が必要なんだ。
勢いをつけるにはどうしたらいいのだろう?と、さらに研究をすすめ、船井幸雄先生の本に載っていた「勢いの法則」にヒントを得ました。

そこには、次のようなことが書かれていました。
「組織は常に、上位2割の優等生、まんなか6割の普通ちゃん、下位2割の不良くんにわかれる。会社でも学校でも、人が集まるところでは、必ずそのようになる。で、どこが勢いをもつかで、組織が変わってくる」というのです。
優等生が勢いを持てばどうなるでしょうか?
普通ちゃんがそれになびきます。
普通の人も本に手を伸ばしたり、図書館にいって勉強したりし始めます。
が、不良くんが勢いを持てばどうなるか?
普通ちゃんは不良くんになびき、突然髪を染めたり、夜の繁華街をうろついたりし始めます。
また、不良くんが勢いをもてば、優等生はおとなしくなるし、逆に、優等生が勢いをもったときには、不良くんは静かにしている、ということもわかりました。

そこから得たヒントは
「そうか! 組織の中では、優等生に勢いをつければいいんだな!」ということです。
でも、どうやって、優等生に勢いをつければいいんだろう・・・

ここから先は、私自身の仮説と検証です。
組織の優等生に勢いを持たせるために、私は「優等生を目立たせる」という作戦に出ました。
月に一度の全体ミーティングで、優等生を目立たせることにし、頑張っている人には前に出てもらい、その功績を認め、みんなで拍手を送ったのです。

認められたスタッフAさんは
「ありがとうございます。こんなに褒めてもらったのは初めてです」と喜び、その翌月も、Aさんが頑張ってくれました。
そして、おもしろい変化に気づきました。
Aさんが褒められるのを見ていた他の人たちの様子です。
Aさんを褒めるとき、私はある工夫をしました。
それは、どんなときにどんなことをしたから素晴らしいのか、具体的にプロセスを説明し、それを褒めるようにしたのです。
他の人は「あんなふうにすれば褒められるんだ」ということに気づいたのでしょう。
「自分も褒められたい!」「みんなの前で認められたい!」という気持ちから、Aさんのプロセスを真似、次第にみんなの行動が上質になっていったのです。
次月の全体ミーティングでも、このことを続けた結果、2ヵ月で全体のイメージが変わってきました。
みんながイキイキと働くようになっていったのです。

そして、3ヵ月目には、他の組織の人から「吉野さん、あなたの組織には文化があるね!」といわれるようになりました。
文化とは、共通の概念や価値観がある、という意味だったのでしょう。
たしかに一体感が出てきました。
組織を変革するのは、とんでもなく長期間、多大な労力がかかるような気がしていたのですが、意外にもちょっとしたきっかけで変えることができる、ということを実感しました。

そして、もっと驚いたことに、売上はこれを実施したその週から変わりました。
翌週には倍の売上になったのです。
同じ人材、同じ能力でも「トップからの働きかけで人ってここまで変わるんだ!」と私自身も驚きをかくせませんでした。

さて、ここまでお読みになった先生は、ある疑問をもたれていることと思います。
それは「一部の人を褒めると、褒められなかった人がひがんで、とんでもないことになるんじゃないの?」ということです。

これについては、先回りして私は対応策を練っておきました。
最初にはっきりいったのです。
「私はこの組織を変えたい。このままではダメだと思います。これからは、頑張る人を褒め、努力する人を応援したい。頑張る人と、頑張らない人を同じように扱うのは悪平等です。だって、同じ扱いなんだったら、だらけていたほうが得だもの。これからは努力する人を積極的に認めます」

そう、伸びている人、努力する人と、そうでない人を同じ扱いをしていたとき、私の組織はダメだったんです。
トップが率先して、仕切りなおして、考えを伝え、みんなを先導することが必要なのです。
そうすれば、院内の沈滞した空気は一掃され、活気ある組織に変わります。

>>(社)国際医療経営学会 代表理事 吉野先生
http://www.jihiup.jp