2016年02月15日
こんにちは、東京都港区開業、天川デンタルオフィス外苑前の院長の天川由美子です。
このメルマガでは、「今日からできる患者対応のポイント」をテーマに、
現在の私が考える一歯科医院の院長としての想いとともにお伝えしていきたいと思います。
これまで、初診患者さんからの予約電話に対する受け答えについて、
そして初来院時の受付の対応、知っておくべき歯科用語についてお伝えしてきました。
今回は、患者さんと初めてお会いする時、どのような態度や言葉で対応し問診するべきか、考えてみたいと思います。
(1)第一印象が非常に大切! 患者さんが緊張されていることを忘れずに!
患者さんとの第一印象は非常に大切です。
これまで、電話予約、受付と、少なくとも2回の第一印象を経てきました。
今度はいよいよチェアサイドで歯科医師や歯科衛生士との初対面です。
〇診療室へ
受付から患者さんが診療室に入る時の気持ちを想像してみましょう。
ほとんどの方は緊張されていると思います。
私は別に怖がりでも歯医者嫌いというわけでもありませんが、やはり初めての場所はたとえ美容院でも「ドキドキ」します。
ずっと昔、美容院で「ご予約の天川様です」といわれたとき、
名前を呼ばれたと勘違いし「はい!」と返事をしてしまって恥ずかしかったことを今でも思い出します。
私たちは毎日のことで当たり前になっていることも、初診の患者さんにはわかりません。
(たとえば初診の患者さんは○○番ユニットにお通しする)
何もかも初めてだということを忘れないようにしましょう。
「〇〇様、お待たせしました。お入りください」だけではなく、
「段差がございます」
「お荷物はこちらへどうぞ」
「上着をおかけしましょうか」
「こちらにおかけください」
「靴はそのままで構いません」など、
きめ細やかな声かけをすることが親切だと思います。
なかには、私たちの診療チェアに座ろうとする方もいらっしゃいますし、結構高い確率で靴を脱ぐのか履いたままでよいのかをお聞きになります。
〇内装、ユニット周り
患者さんは緊張してユニットに座って少し周りをご覧になります。
スピットンが汚れているというのは問題外です。
また、緊張されている方は、目の前に窓があったり、絵が飾ってあったりすると落ち着くそうです。
患者さんの目線になって、一度ユニットに座ってチェックしてみましょう。
〇服装、髪型
ユニフォームが汚れていたり、しわくちゃになっていませんか?
髪型やメイクなどはいかがでしょう?
ある日、患者さんに、「先生、手がきれいですね」といわれました。
私は、「ありがとうございます」といいながら、
“爪をちゃんと切っていたかな? いつ私の手を見たんだろう?”
とも思いました。
患者さんは意外な部分まで見ています。
清潔感のあるスタイルを心がけたいものです。
また、初めて患者さんとお話しするときは、必ずマスクとグローブを外しましょう。
〇挨拶
「こんにちは、天川です」
まずは明るく自己紹介です。
歯科衛生士がはじめに患者さんの問診を行う場合も
「歯科衛生士の〇〇です」
ときちんと名前をいいます。
そして、受付でも簡単な問診をしているはずなので、
「もう一度確認させていただきますが」
「何度もお聞きするようで申し訳ありませんが」
と、ひと言付け加えて主訴を確認するようにしています。
〇問診
患者さんの症状や希望は、できるだけ患者さん自身の言葉でお話ししてもらうのがいいでしょう。
その言葉を傾聴し、声のトーンやしぐさなどを観察します。
しかし、緊張されている患者さんから詳細な説明をしていただくためには、ちょっとしたテクニックがあります。
私が開業したばかりの頃、コーチトレーニングスクールで学んだコーチングやNLPテクニックを、
どのように患者さんとの会話で用いているかを一部ご紹介します。
(2)コーチングやNLPテクニックの応用
〇オープンクエスチョンで患者さんの言葉を聴く
オープンクエスチョンとは、単純に「はい」「いいえ」では答えられない質問のことをいいます。
この反対が、「クローズドクエスチョン」です。
こちらは「はい」「いいえ」といった短い答えで答える質問です。
患者さんが痛みや前医への不満、または治療に対する不安をもたれているとき、初診時で信頼関係が築けていない頃に、いきなり
「今どのような感じですか?」
「あなたはどのような治療をご希望されますか?」
と質問しても答えづらいのではないでしょうか。
尋問のようになってしまう可能性もあります。
まずは、クローズドクエスチョンで質問をしましょう。
「どなたかのご紹介ですか?」
「歯科医院はお久しぶりですか?」
「今気になるところはありますか?」
「今何もしなくても痛みがありますか?」など、
何も考えなくても答えられるような単純な質問からはじめましょう。
次に、その質問からチャンクダウンで主訴や希望をより具体的にしていきます。
その際、「いつ」「いつから」「どんな時に」などは使えるフレーズです。
「気になるのはどこですか?」
「いつからその症状は出ていますか?」
「何かを噛んだりしたときでしょうか?」などです。
〇「傾聴」に役立つページング、ミラーリング、バックトラッキング
患者さんと会話をしているときの「傾聴」に役立つのは、ページング、ミラーリング、バックトラッキングです。
ページングとは、相手の話し方のテンポや抑揚に合わせることをいいます。
ミラーリングとは、目の前の会話をしている相手と鏡になるようにして同じ動作をすること。
バックトラッキングは、相手の発した言葉をオウム返しすることをいいます。
たとえば、
「左上の奥歯がものすごく痛むんです」
「それは大変でしたね。いつからですか?」
「1週間前です」
「どんな感じのお痛みでしょうか?冷たいものがしみるとか、お食事の時に噛んだら痛いなどでしょうか?」
「何もしなくても、ズキズキ痛みます」
「1週間前から、左上の奥歯が何もしなくてもズキズキ痛むようになったんですね?」
という感じです。
とくにバックトラッキングは、確認にもなりますし、患者さんはすごく自分の話を聞いてもらったという感覚になりますので私もよく使います。
(3)一番大事なのは、患者さんの気持ちを察し、正直に話し合うこと
今回は、患者さんとチェアサイドで初めて話すときの注意点について述べました。
患者さんにとっての第一印象も大切ですが、私たちの患者さんに対する第一印象も大切です。
今後、私の治療を受け入れてくださるかどうかを瞬時に判断しなければならないからです。
第一印象がいい印象だった場合、その後クレーマーになったり、トラブルを起こすことはほとんどないといわれています。
いろいろ気をつけることはありますが、一番大事なのは患者さんの気持ちを察し、正直に話し合うことだと思います。
患者さんの言葉だけではなく、しぐさや表情をよく観察しましょう。
東京都港区開業・天川デンタルオフィス外苑前
天川 由美子
⇒ http://www.amakawa-do.com/