2010年04月19日
医院運営で行うさまざまな取り組みの中でも、来院者の方々とのコミュニケーションを通じた信頼関係の構築は、紹介患者数の増加、自費診療収益の向上、キャンセル率の低下、リコール反応率の向上といった歯科医院の経営指標に直接的に影響を及ぼします。
それなのに、多くの医院ではこの部分に対するメンテナンスに十分な手間や時間がかけられていないというのが実態ではないでしょうか。
信頼関係を構築するための最初のステップとして、「来院者一人ひとりに対するパーソナルメッセージを送る」ということがあげられます。
パーソナルメッセージとは「○○さん、先日、お子様が生まれたとお聞きしましたが、お元気ですか?」といった、その人の心に届きやすいメッセージを発信していくことです。
これは、来院された方に「あぁ、この医院の人たちは、自分のことを気づかってくれているんだな……」ということが、素直に伝わるメッセージです。
私たちは、ややもすると「(相手には)言わなくても、わかってくれているはず」と、自分にとって都合のよい解釈をしがちです。
しかし、実際には、しっかりと相手に対する気づかいを表現していくことが大切です。
具体的なメッセージを送ることで、「いい歯科医院」「紹介しても安心できる医院」といった信頼関係が生まれます。
ところが、日々、多くの患者さんが来院される歯科医院において、すべての方々のパーソナリティーを把握しておくことは容易ではありません。
そこで、おすすめなのが、コミュニケーションシートを活用することで、来院者の方々のパーソナリティーを共有する方法です。
コミュニケーションシートとは、来院者の方々と会話した内容を記録するシートです。
コミュニケーションシートをカルテにはさんでおくことで、どのスタッフが担当しても前回までの会話の内容が記録されているため、来院者個々に合わせたパーソナルメッセージを発信することができるのです。
近年、来院者の方々とのコミュニケーションを充実させようとコミュニケーションシートを導入している歯科医院は増えてきましたが、きちんと活用できている歯科医院というのは一握りにすぎません。
実際にコミュニケーションシートに記載されている内容を見てみると、人間はどうしても、自分の得意分野に偏る傾向がありますので、本来、日常のパーソナリティーに関する内容を記載すべきところに、治療に関することしか記載されていないということが往々にしてあります。
こうしたことを防ぐためには、コミュニケーションシートを活用する意義をしっかりスタッフに伝えていくことが大切です。
コミュニケーションシートを活用することで、来院される患者さんのパーソナリティーを院内で共有し、その方々に合わせたコミュニケーションをとる――このことが、信頼関係の構築につながり、結果として紹介患者数の増加につながり、強力な増患対策になるだけではなく、自費診療収益の向上、キャンセル率の低下、リコール反応率の向上など、一石四鳥、五鳥にもなります。
ぜひコミュニケーションシートの正しい使い方を理解し、増患につなげてくだ
さい。